『2017年おしゃれオフィス20選』取材の第7弾は、株式会社Viibarです。今年1月より新たに「動画の世界を変える。動画で世界を変える。」をミッションに掲げ、約3,400人のクリエイターと共に、ミッションの実現に本気で取り組んでいます。
本記事の内容
働き方自体も変えていきたい
●LIFE STYLE代表 永田(以下永田)
今回は取材にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。まず御社の事業内容についてお教えください。
○株式会社Viibar 代表取締役 上坂優太 様(以下上坂)
弊社は2013年4月にスタートした「動画」を軸に事業を展開している会社です。事業は大きく3つあり、1つ目は創業当初からやっている動画マーケティング事業です。動画マーケティングの分野で「クラウドソーシングを活用した効率的な制作のシステム」を提供しています。比較的リーズナブルにデジタル動画を提供することでビジネスを伸ばしていて、クライアント数は約600社(2016年12月時点)、登録してくれている外部クリエイターが3,400人ほどいます。
2つ目が、動画メディア事業です。日経やYahoo!、NHKなど、コンテンツやブランドを持っている方と我々の制作技術力を組み合わせて動画メディア事業を行っており、自分たち独自のメディアも持っています。
そして3つ目が、制作ツール自体を我々以外にもオープンにしていく動きです。春以降はここに注力していく予定なのですが、クリエイティブ産業の働き方は、まだまだ旧態依然としていて色々な問題が起きているんですよ。私たちが提供するものが業界の当たり前になったり、働き方自体も変えていければ、と考えています。
●永田
外部のクリエイターさんが3,400人もいらっしゃるのですね。
○上坂
そうですね。ただ数そのものよりも、質や実際の稼動、実績作りの方に力を入れています。現在クリエイターが担っている仕事の一部は、将来的にAIやロボットに代替されてしまうと思っています。そんな中、人間に求められる仕事は人にしかできないよりクリエイティブなことや、ハイレベルなものに収斂していくと考えています。私たちのミッションは、クリエイターの方々に人にしか出来ない事にフォーカスできる環境や、そういった仕事を提供していくことだと考えています。
私自身大学卒業後はドキュメンタリー番組の制作などをしていたのですが、当時既にテレビであまり面白いことができなくなってきていたんです。若い人のテレビ離れは進む一方、現場では視聴率が最重要KPIになっているので既存ヒット番組のフォーマットの焼き直しがどうしても多くなる。働き方も到底持続可能な環境ではなく、若いなりに「このままではまずい」と思っていたのが今の事業にもつながっていますね。
マンションの一室から6畳のインキュベーションセンター、空気の良い目黒へ
●永田
当時抱いた疑問が、今につながっているのですね。テレビ制作の後、楽天に転職されてから起業されたとのことですが、創業当時はどんなオフィスでしたか?
○上坂
一番最初は有明のマンションの一室でした。私の楽天時代の同僚が短期で海外駐在になったのでそこを借りました。スタート時は4名で、一人がビジネススクールで出会った友人、もう一人は楽天のエンジニア、そして私の幼馴染です。その4人で寝食を共にしてやっていましたが、その後、早稲田のインキュベーションセンターという、大学の横に併設されているスタートアップをインキュベートするための施設へ移転しました。6畳一間ほどの窓もない密室だったので、誰かがそこで唐揚げなんか食べるともう匂いが充満して凄いことになっていました。まさにスタートアップという環境でしたね。その後は、渋谷にある40坪くらいの雑居ビルへ移りました。当初は10名くらいだったのが、後半には20名、30名になって、もう入れないね、と。そこでまた新しいオフィスを探し始めて、2015年春にこの目黒に移ってきました。
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●永田
この目黒に決めた理由は何だったのでしょうか。
○上坂
このオフィスに来た時に、まず窓からの景観が最高だったんですよね。私自身、「風通しが良く、気持ち良く働ける環境」にこだわっていて、一つ前の渋谷のオフィスも内装をウッディにしたり、打ち合わせルームはガラス張りにしたりしていたんですね。ここを見た時に、風通しも良いしリラックスして自然と一緒に仕事できる雰囲気だな、と感じ、とんとん拍子に決まりましたね。緑も多いですし、前が首都高なので高いビルが建ったりして景観を遮ることがないのも良かったですね。
トースターもあるカフェ的なスペースで、社員同士もコミュニケーションを
●永田
風通しの良いオフィスを作る際のこだわりはどんなところでしょうか。
○上坂
社内に、みんなが気楽に集えるようなカフェスペースというかラウンジのようなスペースをつくりました。社員もここで仕事ができますし、お客様やクリエイターとの打ち合わせにも使えます。働きやすさを考え、机に向かって仕事するだけじゃない、気楽に使えて交流できるスペースを取り入れたかったんですよね。リラックスできるようにカフェのカウンターのような雰囲気にして、最近はお客様からいただいたトースターも導入されました。また、毎月「〆会」というかっちりした月末の振り返り会を開催するのですが、その後に「納会」としてお酒を出して、ケータリングを取って楽しく飲むんですよ。色々と使えるスペースなので、しっかり働く執務スペースとコミュニケーションをとりやすいこの場所と、うまくバランスがとれる環境になっています。
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●永田
上坂さんが、このオフィスの中で気に入っているポイントってどんなところですか?
○上坂
個人的には景色もすごく好きですが、執務室の窓側にカジュアルな打ち合わせスペースをいくつか用意していて、そこでメンバーがスタンディングや靴を脱いで座って打ち合わせをしていて、そういうのは良いなって思いますね。組織の機動力にもつながりますし、いちいち個室のミーティングルームを使わずにカジュアルに情報共有できている雰囲気は好きですね。
組織が大きくなることで変わること、意識していること
●永田
2年前に約30名で移転してきて今が社員以外も含めると約60名。組織が大きくなるとコミュニケーションも変える必要があると思いますが、どうですか?
○上坂
60人位になると個人個人が何をやっているか、ちょっとずつ見え難くなりますよね。プロフェッショナルが多いのでどうしても縦割りの組織的な動きが中心になるので、だからこそ意識的に横のコミュニケーションが取れるようにしています。弊社には色々なバックグラウンドの人がいて、これはうちの強みでもあり、組織マネジメント上はある種の難しさでもあります。例えば営業しかいなかったら、営業でよくある体育会的なノリでマネジメントしていけば良いのでしょうが、そんなにマッチョな組織でもありません。かといって、全員エンジニア、全員クリエイティブということでもない。むしろ色々なバックグラウンドがあって、それをお互いにリスペクトしているというのが理想だと考えています。仕事で絡む部署もあればほとんど接点が無い部署もあるので、例えば同年代で飲みにいくとか、フットサル部や写真部のように部活動を立ち上げたり、仕事とは違う切り口でコミュニケーションを促進できるように心がけています。御社はいかがですか?
●永田
うちはつい最近4期目がスタートして同時に130坪にしたのですが、2月末までは50坪の中に50名近くいて最後はかなりカオスでしたね。この1年で20名くらい社員が増えたので、3期目は評価制度の確立などかなり守りを固めました。コミュニケーションの問題も結構言われたので、部署関係なくプレゼンを行う企画を週一で開催したり、月一でピザパーティーを開催したりして、全体で会社としてチームとしてなんとなくまとまれる方法はないか、と模索しています。
○上坂
分かります。弊社も同じような意図で部活動が盛り上がってきているので、私もフットサル部に参加しようかなって思っています。ベタですけど、飲み会も懇親費を一人月5000円支給しています。それぞれ業務に忙しいので、あえて時間を作らないとなかなか深い交流は生まれないじゃないですか。なので、その辺りは意識的にデザインしています。そういった部分にこだわっていかないと本当のチーム力が上がらないな、と最近思っています。また、時間的にも私自身が社員一人一人と一対一でコミュニケーションする頻度はどうしても減ってくるので、できる限り私と同じことを発信する分身が増えていけばということで、執行役員制度をとり入れ、今年はミドルマネジメントも強化していきたいと思っています。
●永田
会社の文化の醸成って一気に変わるものではなく、徐々にですもんね。今年1月に「動画の世界を変える。動画で世界を変える。」というミッションに変わったそうですが、その想いをお聞かせください。
ミッション:「動画の世界を変える。動画で世界を変える。」
○上坂
以前は「クリエイティビティの新しい市場をつくる」というミッションで、総合型のクラウドソーシングモデルに近い事業でした。しかしそれだとなかなかクリエイターにもクライアントにも価値が提供し難く、今の事業モデルにピボットをしました。今年の頭に、新しく体制を変えたのを機に、心機一転みんなで魂を込めたミッションにしよう、今の事業モデルにもフィットしたものにアップデートしようと。それで「動画の世界を変える。動画で世界を変える。」を掲げました。「クリエイティブ」からあえて「動画」に絞ったのは、やはり言い切らないとコミットしきれないと思ったからです。きちんとフォーカスすることで見える世界があるはずで、「やっぱり動画だよね」「ちゃんと動画って言おう」というのを社内外に伝えたかったというのがあります。社内では「前よりすごく腹落ちしました」という意見が多く、しっくりきています。今後はこれの浸透に力を入れていきたいです。
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●永田
バリューに関しても教えて頂けますか?
○上坂
弊社にとってのバリューは、「ミッションを実現するために大事にしたいこと」という位置づけです。以前は5つあったのですが、数が多くぼやけてしまっていたので「Creativity」「Engagement」「Grit」の3つに絞りました。クリエイティビティは、どんな仕事だとしても、ここを変えたら良くなるよね、と創意工夫を持って全てのことに向かおうというものです。ミッションで「変える」ことを宣言している以上、これは欠かせないと思っています。エンゲージメントは、人と繋がって、どんどん巻き込んでいこうよ、ということですね。Viibarのモデルがまさにそうで、クリエイターも社外の方々なので、色々な方と志を持ってつながってどんどん巻き込んでいこう、自分たちだけの力ではミッション実現まで届かないからだと思っています。そして3つ目がグリット、しっかりと腰を据えてやりきる力です。3つだったらさすがに覚えられますし、絞ったことで本当に重要な事が明示できたと思っています。最近はValueのSlackスタンプを社員が有志でつくってくれたり、少しずつ社内でも使われ始めているので、もっともっと文化として醸成していきたいです。
●永田
御社の採用基準はどんなところでしょうか。Viibarらしいというか、ここだけは譲れないところというか。
○上坂
採用時には、私たちが掲げているミッションと、組織的なフィットとの両方を見ています。スキルも重要ではありますが、やはり大切なのは、私たちがやろうとしていることへの共感と、掲げているValueを一緒に体現していける方なのか?これが重要です。あと、創業以来一貫して見ているのは、「誠実さ」です。嘘をついたりセコいことをしないか、というところはよく見ています。私自身がそういうことが嫌いというのが一番の理由です。また、今現在はほとんど中途採用なのですが、今後は新卒採用やインターンも、より計画的にやっていこうと思っています。
●永田
それでは最後に、今後のビジネスの展望についてお聞かせいただけますでしょうか。
○上坂
とにかく、「ミッションで掲げている山に着実に登っていく」ことが大事だと思っています。今までは、Viibarの経済圏の中だけで新しいクリエイティブの作り方や効率的な制作環境を磨いてきましたが、それを業界全体に広めていきたいと思っています。業界の標準を我々が作って、持続可能な産業にしていきたいと考えています。私自身のViibar創業の初期衝動が、クリエイティブ産業の働き方の改善・効率化なんですね。実際業界にほころびが出てきていると思っているので、それをしっかり事業としてもやれる仕組みを作っていきたい。無駄な作業を省くことで、クリエイターはクリエイティビティの発揮にもっと集中し、さらに良いアウトプットができますよね。そうなると関わる人は幸せだし、良いコンテンツがどんどん世の中に溢れたら、世の中的にもハッピーな人が増えていくという循環が生まれます。動画が持つパワーって、単純に情報を伝達するだけではなく、心が動いたり世界観が変わったりするじゃないですか。そこが素敵だと思っているので、そんな良い循環を起こしていきたいですね。
●永田
優秀なクリエイターがViibarをつかって自分らしい働き方をした結果、クリエイティビティを存分に発揮し、私たちがそれを享受できるのですね。楽しみにしています。本日はありがとうございました。
ー上坂様 貴重なお話を誠にありがとうございましたー
取材協力:株式会社Viibar 代表取締役 上坂優太 様