株式会社ダズルは2011年に設立され、”「楽しい」と「便利」を創る”というミッションのもとに、VR事業やスマートフォンゲームの開発、運用などをおこなっている企業です。今回はVRコンテンツ分析ツール「AccesiVR(アクセシブル)」の反響や今後の展望について、ダズルのCOOの出口様、AccessiVRのプロジェクトマネージャーの岩田様にお話を伺いました。
ーーまず御社のVR事業について教えていただけますか?
株式会社ダズル 出口様(以下出口):
株式会社ダズルのVR事業のメインは、AccessiVR(アクセシブル)というVRコンテンツサービスの分析・運用サポートをするサービスの提供、もう一つがVRコンテンツの受託開発です。
ーーAccessiVRを始めた背景やきっかけを教えてください。
出口:
VR市場の拡大には、ハードの進化と、ソフトウェア、コンテンツの進化の両軸が必要です。ハードだけが進化したとしても、良質なコンテンツを増やさないとユーザーも増えてこないと考えています。そこで、VR市場を拡大するためには自分たちがコンテンツを作るだけではなくて、他の会社さんも良いコンテンツを作れる土台を整えることが必要だと考え、AccessiVRの開発に至りました。より使いやすいものを作っていくためにはユーザーの利用データが必要です。その点では、弊社のサービスは非常に役立つと思います。
ーーAccessiVRを開発する中で、課題となったところはどこでしょうか?
株式会社ダズル 岩田様(以下岩田):
そもそも何のデータを取ったらユーザーが喜ぶかという点ですね。弊社はVRコンテンツの開発もしており、詳しい人間もいますので、その者の意見を元に開発を進めました。そのほかにも、データ量がとても多くなる点です。この問題に関しては、ビックデータを使って、うまくデータを集計したりするようにしています。
ーー今回このサービスの開発を進めるにあたって、海外の類似サービスなどと差別化した点はありますか?
岩田:
海外に一件、cognitiveVRという会社がありますね。
出口:
あとはUnityアナリティクスですね。これらのサービスとの違いはいろいろありますが、AccesiVRの大きな特徴としては、実店舗、リアルの体験施設に対応できる機能を盛り込んでいるという点です。ユーザー属性を取得できる機能があったり、今はまだ実装できていませんが、ウェアラブルデバイスにつないで脈拍を測って、何を見たときに脈拍が上がったかなどのより細かなデータを集計できる機能を開発しています。
これらの実現にあたって、ユーザーに属性を入れてもらうこともできるのですが、誘導や、オペレーションがあったほうが良いとは思います。その意味で、VR商業施設や駅前VRイベントなどの実店舗向けでの活用は一つ大きな差別化になると考えています。
他にも、UnityアナリティクスはUnityにしか対応していませんが、弊社のサービスは海外で主流になりつつあるUE4 などの環境に対応していきます。実店舗もプラットフォームもそうですし、他のエンジンにも対応していきたいと思っているので、利用幅の広さも一つ差別化にしようと思っています。
ーーAccessiVRの料金体型について教えてください。
出口:
料金はほぼ無料ですね。プラットフォームプランでもユーザー数が増えてきて100人以上になると、MAU(月間アクティブユーザー数)×3円とか、4円とかです。
ただ、データを集計したとしても、それをきちんと活用して改善に生かすノウハウやキャパシティがないお客様もいらっしゃいますので、そういう場合はオプションで弊社がレポーティングまでやらせていただいています。
ーーAccessiVRはリリースされたばかりだと思いますが、どういったユーザーがどのような使い方をすると想定されているのでしょうか?
出口:
基本的にはVRのサービスやコンテンツを開発している会社様に、自社サービスを改善するために使っていただくことを想定しています。業種として一番多いのはVRゲームですね。あとは、不動産などゲーム以外の業種でも対応できるようには作っていますので、やはりVRでサービス開発・提供をおこなっている会社様全てです。
一番使っていただきたいのは、3DCGで作ったVRのコンテンツをユーザーがどのように利用したかを時系列で全て追える「タイムライン機能」です。ユーザーがそれぞれどんな動きをしているのか、そして視点の向きはどうなっているのかをご確認いただけます。例えば、VR空間でのECでしたら、お店の中でどのようなルートでその商品にたどり着いたのかが全てわかるようになっています。
ーー実際今はどのようなお問い合わせが来ることが多いのでしょうか?
出口:
問い合わせですと、ゲームへの利用だけではなくPRに使ったり、実写の研究に使いたいというものも多いですね。他にも広告代理店さんは、クライアントさんにVRの企画を勧めるにあたって、データが必要なので利用したいというお話もいただきます。
ただ、今は業種を絞らずいろいろなお問い合わせをいただきたいです。どうしても我々はゲームに発想が偏ってしまうので、いろんな業界からお問い合わせいただき、ご意見をいただきながら、広く対応できるサービスにしたいと思います。
そもそも我々もVRでこれから何が流行るかわからない状態なので、とにかくいろんな意見を聞きたいです。その意見を元に、これから何が必要になっていくのかを判断したいという意味でも、多岐に渡る業種からお問い合わせいただけると嬉しいです。
ーーAccessiVR以外にコンテンツの受託制作もされていますが、今後そちらのビジネスも続ける予定ですか?
出口:
そうですね、企業体力の問題もあり、弊社がコンテンツ制作をビジネスとして本気でやる時期はもう少し先のフェーズになるかなと思っています。今はノウハウの蓄積を続けて、可能な限り回収しつつ、本気で勝負をかけるのはもうちょっと先というイメージで、今はAccessiVRでの収益化を目指しています。
ーー今後株式会社ダズルとしてVR事業をどんな方向に進めていくという考えはありますか?
出口:
まず一つはtoBの領域で、しっかりとした事業の柱を作っていくということを考えています。その次に、VR市場ができてくる時期を2019年、2020年以降だと考えていて、そこに合わせてtoCに向けてサービスをやっていきたいと思っています。
ーーVRの世界ってどうなるか、どなたに聞いてもいろんな答えが返ってくるので、まだ難しいですね。もう少しマクロに見たときに、御社の立場から見たVRの世界って今後どうなっていくと思われますか?
出口:
いろんな切り口があると思いますが、ビジネス的な視点で見た場合、今はtoB向けであったり、実店舗型でユーザーに体験してもらう形が多いですが、後々はtoCのビジネスが増えてきて、最終的にはスマートフォンとかPCみたいな使われ方になると考えています。それに沿って、家庭に一台くらいVRがある前提でのサービスみたいなものが出てくるだろうなと。
岩田:
私は、今後ARが出てきてVRとの住み分けがされていく中で、VRはエンターテイメント寄りになっていくと予想しています。VR体験には場所が必要で、日本だと場所を確保すること自体が大変です。そこで一般家庭での活用が中心になってくると、趣味嗜好が出て、マニアックなものになっていくと。今でいう、Switch派か、PS4派かみたいな感覚ですね。
出口:
そこはいろんな考えが出ていますね。僕なんかは一体型とか出てくると、ビジネスユースで使われたり、エンターテイメント以外でも使われるかなと思っています。エンターテイメント以外のところでもVRが力を発揮しないと、本当に普及はしてこないと思っています。
ワイヤレスの一体型で、より薄いVRデバイスが登場すれば、今のスマホのように、一人一人がVR体験をいつでもできるような状況になり得ます。その先の展開を考える上で大事なことは、「どうなるのか」という予想よりも、「こうしたい」という妄想をいかに形にするかだと思っています。いずれにせよ、弊社がそういった市場の発展の中で重要な鍵を握れるように、今は「データ」という側面から貢献していきたいですね。
ー貴重なお話を誠にありがとうございましたー
株式会社ダズル
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