
【こだわりオフィス特集】ラクスル株式会社
「こだわりオフィス特集」の第3回は、「ラクスル株式会社」にお邪魔しました。
ラクスルは2009年創業。「印刷の新しい発注の仕組み作り」を目的に発足し、ネット印刷事業を中心に集客支援・物流サービスと幅広い事業展開を行っています。2015年10月には、シンガポールに100%子会社である「RAKSUL INTERNATIONAL PTE. LTD.」を設立。オフィス移転後の12月にも新しく物流サービス事業『ハコベル -hacobell-』を開始するなど、多くの注目が集まっています。
ラクスルは2015年11月に、オフィスを虎ノ門から現在の品川区上大崎に移転しました。今回は、代表取締役を務める松本恭攝氏にお話を伺いました。
ラクスル株式会社 代表取締役 松本恭攝氏
本記事の内容
新しい顧客経験を生み出す
――現在、貴社はどのような事業を展開されていますか?
松本恭攝氏(以下:松本) : 既存の古い産業にインターネットを持ち込んで、新しい顧客経験を生み出すということ行っています。具体的に言うと、印刷や集客支援、物流などです。昔からあったもの、例えば印刷でいうと名刺やチラシ、会社案内の冊子などになりますが、その生産を行っています。
生産と言っても我々自身で印刷工場を持つのではなく、日本全国の印刷会社をネットワークし、空いている時間で印刷をしていただいてお客様にお届けするという仕組みを構築しております。また、折り込みチラシやポスティングチラシといったものを、オンライン上でシュミレーションして、クラウドソーシングを使ってデザイン・制作・配布までも行うというような集客支援サービスも行っています。自社で配布員やデザイナーを抱えているわけではなく、既存のリソースをネットワークして繋ぎ合わせることによって、お客様に新たな印刷経験や集客経験を提供することが事業となっています。
同様に、物流においても、物流サービス事業『ハコベル -hacobell-』を通して個人のトラック事業主を含めた運送会社のネットワーク構築を行っております。昨年12月に開始したサービスなのですが、荷主にとっては荷物の配送予約から支払いまでをパソコンやスマホアプリから行える配送のEコマースであり、ハコベルにご登録いただいているドライバーにとっても専用アプリからダイレクトに配送依頼が届くことで、対応できそうな案件を自分で見つけて受注できるので、空き時間を有効活用して稼働率を高めることにつなげていただけます。
こういった、印刷や物流という昔からあったサービスにインターネットを加えることによって新しい経験に作り替えていくという様に、古い産業のリストラクチャリングをしていく会社です。中小企業や個人事業主など、大手と比べて力の弱い人にインターネットを使って力を与え、大手が作ってきた20世紀型の産業構造を21世紀型に変えていくということを目指しています。
天高を最大限に活かしたオフィスに
――現在のオフィスを作るとき、どのようなことを意識していましたか?
松本 : 自分自身でRFP(提案依頼書) を作りました。テーマは『Progressive(革新的な)/Interactive(相互的な)/Comfortable(快適な)』を掲げました。
もともと建築やアート・デザインが大好きで、今回のオフィスも自分自身の想いがかなり入っているオフィスになっています。自分が目立ちたいとかいう欲は全くないのですが、空間やアートを所有することに対する欲が結構強いほうなんです。もともと天高の空間がすごく好きだったので、天井が高いという点は自分の中で最もプライオリティが高い部分の一つで、天高のある空間に住むとか天高のある空間で働くというというのは、働いている時間が長い中でどうしても実現したいエゴでもありました。
オフィス移転のタイミングで、「天井が高いオフィスがいい」というのはずっと言っていたんですけれど、その時にヒアリングしてくれた方が見つけてきてくださったのが、天井までの高さが12メートルあるオフィスだったんです。もともとは住宅展示場で、最初に見に行ったときにはまだ中に入れなかったんですけど、曇りガラスの上の隙間から少しだけのぞき見た感じだけですっかり気に入り、中を見ずにここのオフィスに即決しました。目黒駅徒歩2分という最高の立地だったのも決め手でしたね。
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天井の高さが特徴の開放感のあるオフィス
そのうえで、どういうビジョンをオフィスに持たせようかということを考えた時に出てきたのがこの『Progressive/Interactive/Comfortable』。まず、これだけの天高なので、高さを活かしたクリエイティブなオフィスにしていきたいという想いがありました。先進的且つ創造的で生産性が高い、という要素です。また、ラクスルは様々な役割・背景を持つ人が集まっている会社なので、人の幅が広い中で、お互いをリスペクト出来る関係性を作る前提としてコミュニケーションが発生しやすい環境を作りたくて、そのための導線をオフィスに取り入れたいという部分がありました。
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くつろぎのスペースも
スタートアップは人が増えると環境がどうしても移り変わってしまいますが、自分自身はこのオフィスに10年はいたいと思っています。そういう長く居続けられる快適なオフィスにしていきたいという想いを込めました。
ワクワクするような環境とマインドを
――オフィスを通した働き方・価値観をどのように表現していますか?
松本 : センスや遊び心が重要だと思っています。パーテンションで区切られた味気のないオフィスにいると、だんだん味気のない人間になってしまう気がするんです。それよりも、もっとワクワクするような環境・創造性を持てるような環境にしたいと思っています。生産性の根源は、ロジックではなくクリエイティビティだと思っているので、そういうマインドや環境を作っていきたいという想いが込められています。
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区切りの少ない造り
また、席はチームごとに決まっていて、自然とコミュニケーションの場が発生するようにしています。これもまた、『Interactive』を形成する導線になっています。
世の中を変えていく人材を
――人員を採用するときは、どのようなところに注意していますか?
松本 : ビジョンへの共感という部分が一番だと思っています。我々が、なんのために働くのかというと「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」つまり「古い産業構造にインターネットを持ち込むことによって新しい産業構造・価値を作っていく」という想いを形にするためです。そこへの共感がとても大切で「なぜ働いているか?」と聞かれた時に、「世の中を変えていくため」という強い想いを持っていることがとても重要であると考えています。その他にテクニカルな話でいうと、自分たちよりも優秀な人を採用したいですね。少なくとも、我々社員の平均能力よりもレベルの高い人を採用したいという想いがあります。
――ビジョンを浸透させるために行っていることはありますか?
松本 : ビジョンを浸透させるために年に一回、ビジョンを前提として社員合宿を行っています。「ビジョンと事業をいかにリンクさせるか」ということを、言葉として話します。普段やっている事業が、ビジョンといかにリンクしているか、繋がっているのかということを、コミュニケーションを通して理解する。ビジョンを作っていくうえで、ビジョンと結びついた仕組みと、その仕組みという血管の中に流す血の量をいかに増やしていくかということがとても重要なことであると思います。
インターネット×印刷で国内のインフラへ
――今後、どのように事業を展開されるおつもりですか?
松本:「インターネット×印刷」として国内のインフラになることを考えています。例えば印刷に関する時に、ほとんどの方がラクスルを使っていて、ラクスルが無ければ困るというところまで持っていきたいです。
また、海外展開に関しては、今シンガポールに子会社があって、我々と同じ事業をする会社に投資をしています。2015年の11月にはインドネシアの会社に出資を行いました。投資先の発掘のために、年の三分の一などは海外に行ったりしていますが、今後出資・買収を通じた海外展開は多くなっていくと思います。
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