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株式会社リンクアンドモチベーション【2017年版】おしゃれオフィス特集

採用や事業についてオフィスから読み解く『おしゃれオフィス』特集。今回は社員の「モチベーション」に注目し、成長エンジンとして重視している株式会社リンクアンドモチベーションです。「組織開発」「個人開発」「マッチング」の3つのディビジョンから、日本の組織と個人を活性化すると言う理念を掲げています。今回は同じ世界観を共有するためにこだわったというオフィスはどんな思いを反映しているのか、お聞きしてきました。
 
 
ーー御社の事業内容について教えてください。
 
リンクアンドモチベーション川村様(以下川村):
リンクアンドモチベーションは2000年4月に創業した会社です。もともとはリクルートの中で組織コンサルティング室という部署を立ち上げており、その中で数名がスピンアウトして、組織人事のコンサルティング会社としてスタートしたのが最初です。当時は「モチベーション」という言葉も、まだあまり知られていなかったのですが、これからの企業の競争優位性を作り上げるものは、そこで働く社員であり、社員の中でも特にモチベーションである。ここに事業の競争優位性というものが根本的に作られていく時代がくるであろうと思っていました。そこで採用や、人材育成、人事制度構築、組織風土変革等、そういったものをワンストップサービスとして提供している会社は今もないんですね。採用のみ、人材育成のみという会社はたくさんあるのですが、モチベーションというテーマでくくって、ワンストップで企業変革をサポートするサービスを提供しているのは、実は弊社がオンリーワンです。
 
我々がモチベーションエンジニアリングと呼んでいる基幹技術があるのですが、これは、心理学・行動経済学・社会システム論等の学術的成果を取り入れたもので、空理空論ではなく「実効性」に、勘・度胸・経験ではなく「再現性」に拘り、創業からその技術を磨き、進化させてきました。そして、コンサルティング事業から、アウトソース・イベント・メディア事業へ派生させ、企業を取り巻くステークホルダー(社員・応募者・顧客・株主)との関係構築および強化支援を行ってきました。また、創業10周年を機に、「モチベーションエンジニアリング」をBtoC領域にも展開し、個人の生きがい創り、働きがい創りにも貢献してきました。さらに、強い組織と個人をつなぐマッチングのための、人材紹介・派遣事業やALT(Assistant Language Teacher=外国語指導講師)配置事業を展開しており、国内外の人材を日本の企業や学校法人と接続しています。つまり企業のコンサルティングやイベント・メディア、これは組織開発のディビジョンで、BtoCの事業は個人開発のディビジョン、ALTや人材紹介・派遣はマッチングディビジョン。3つのディビジョンの構成と、あとはベンチャー・インキュベーションなどを行っている会社です。
 
ーーそうですよね。しっかりと幹がありながら、そこから付属してるところで段々段々大きくなって範囲が広くなってるってところなんですね。
 

 
川村:
そうですね。事業はだいぶ多様化したんで。外国籍の社員もぐっと増えているんですよね。
 
ーー基本的にはM&Aされると一緒のオフィスで働くっていう文化があるのでしょうか?
 
川村:
はい。今回の移転もそうですが、遡ると2013年頃から、主要7都市の北海道、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡に関しては統合拠点を作ってきました。各法人がみんなそれぞれのオフィスで働くのではなく、一つのオフィスで働く中でモチベーションの問題もそうですし、シナジーを生み出していくべきだろうという考え方がもともとあります。
 
ーーそれでは早速そのオフィスについてお伺いしたいと思います。今回特にこだわったオフィスのテーマはどこになりますか?
 
川村:
一つは世界観です。今回新しく移転した東京本社は、Port(港町)というコンセプトでオフィスを作っており、同じ世界観で設計された場所で一緒に働くというのは、組織の統合力を高めるには非常に重要な要素だと思っています。なので、世界観、Portというコンセプトをいかに徹底的にオフィスで表現するかについては大きくこだわりました。そして組織というのはコミュニケーションがとても大事ですね。我々はよくコミュニケーションを体の血流に例えます。血流が滞れば肩が凝ったり、内臓がおかしくなったりするように、組織においてはコミュニケーションこそが血流なわけなんです。その血流が滞らない、コミュニケーションが滞らないように、いかに潤滑させられるか。そのためには多様化している法人同士のことも理解を深めなきゃいけませんし、会社やグループ全体の方針、理念やDNA等。そういうものをいかに浸透させていくかということがすごく大事になります。そのためにはオフィスには全法人が入っていますが、とにかく壁や仕切りのないオフィスにする。これもすごくこだわったところです。
 
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ーー壁がないというのは空間的なことだけじゃなくて、心理的にも外していこうというメッセージがあるのですね。全法人とおっしゃいましたが、今ここのオフィスには何名くらいいらっしゃるんですか?
 
川村:
今700人くらいです。東京ではすべての法人がスペースを共にするのは初めてですね。その前は2000年に創業して、そこから2001年に銀座3丁目のビルに移転しました。その時はビルの6階・7階からスタートしたんですが、「お、空いたぞ」となったらその階をまた借りて。縦にオフィスが増えていくような形でした。さらにその周辺のビルも借りたりして。ただM&Aをする中で、本社が飯田橋や新宿にある会社もある状態でした。
 
ーーそれではいろいろなオフィスの設計なども、ここだけではなくて以前から携われていたのでしょうか?
 
川村:
私は、以前はやっていなかったですね。というのも私自身は広報でして、弊社はコミュニケーションを大事にするので、社内広報施策を非常に充実させています。社内のメディアだけでも、月に一度、グループで問題意識が高まっているテーマに、幹部同士の対談などで切り込むWEBの社内報、3ヶ月に一度、深層理解・浸透を目的に、中長期の構想や、プロジェクトの背景などを共有する冊子の社内報、また月に二度、グループという単位への興味喚起を目指し、旬なトピックや社員の「顔」をニュース仕立てで紹介する動画社内報等、状況やメッセージに合わせて多様なタイミング・形態のメディアを運用しています。あとは3ヶ月に一度、全社揃っての総会をやっています。「世の中の3ヶ月はLM-Gの一年」という独自の時間観を共有し、スピードを重視にしている会社なので、一年が終われば皆で集まるよねという考え方の元、3ヶ月に一度総会を開いています。
 
ーー全社を集める総会だとなかなか体力が要るのではないですか?
 
川村:
全社総会は1日かけてやるので、大変なのは間違いありませんが、社員のモチベーションが上がるメリットの方が大きいので続けています。そこに投資をしておけば、例えば経営全体の課題ってこの辺りにあるんだなとか、今会社はこういうところを目指してるんだな等、日頃から浸透を図れるので、何かしようというときの運動神経は早いと思いますね。また、弊社ではこういった社員総会や社内報、またワンフロアのオフィス等はすべて、コミュニケーションを活性化させるための投資だと捉えています。
 
ーー壁のない空間を作っていくということだったんですけれども、会社としてや取り組みとして何か仕掛けをもたらさないと、なかなか交わることはないんじゃないかなと思うのですが、何かその辺で意識されていることや施策はありますか?
 
川村:
そうですね、座席はフリーアドレスですが、事業上シナジーを生み出すべき部署というのはあるので、フロア内の法人や部署の大きな配置はこちらで決めています。もう一方で、日常の事業とか仕事ではないところでの交流というものが意外と生まれにくい。みんな真面目に仕事すればするほど、仕事の話はしてもそこに関連がない人たちとはなかなか話さないという状況が生まれています。ただそこにいろんなテーマ、たとえば趣味でゴルフが好きな人たちとか、そういうテーマでランチ会やってみたり、日常とは違う切口の仲間を増やしてコミュニケーションを生ませようと考えています。そういった仕事の組織とは違ったコミュニティをオフィスを使って生むということは想定していますね。
 
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ーーちなみにここに移転される前と今とでは、人数と広さがどう変わったのでしょうか?
 
川村:
前いたオフィスが、今のオフィスには17個分くらい入るんですね。なので前はワンフロアあたり入れても5、60人で、それが本社ビルだと3階から8階まで入っていて、それでも足りずに周辺のビルにも入っていました。
 
ーーでは同じビルでも階数が違って動線がバラバラだったので、物理的に交わることが難しかったということですね。
 
川村:
そうです。そこから創業オーナーのこだわりもあって、ワンフロアにしました。ゴールデンウィーク明けに移転したので、移転してから今で2ヶ月ほどですね。
 
ーーワンフロアにすることで、実際に目に見える変化を感じられたりしましたか?
 
川村:
目に見えて違うことと言えば、前は全社総会でしか会わなかった人たちがすぐそこにいるということは、心理的にはすごく大きいなと思っています。やっぱり同じグループだよねという、その心理的距離というのは目に見えないところで大きかったんじゃないかなと思います。これは恐らく私だけじゃなくてみんな感じていることのはずで、特に弊社はM&Aを多く行ってきた会社なので、精神的にも物理的にも距離があったと思うんですね。そこが大きく取っ払われていくことで、一緒に頑張りたいなという気持ちがより強くなってくれているんじゃないかなと期待しています。
 
ーーM&Aだとそういった部分でまた難しさがあるんですね。ちなみに採用に関しては、リンクアンドモチベーションらしさだったりとか、こういう人が欲しいというような人物像はありますか?
 
川村:
人物像としては「熱くて強くて気持ちがいい人」というのはずっと言っています。「モチベーションエンジニアリング」という基幹技術をベースとして色々な事業を展開していますが、やっぱり色々な物事に関して、熱く本気で取り組んだ経験を持っているような、そういう人が欲しいです。創業の頃からそうなんですが、我々の根底にある思いは、「本質的ではあるがまだ世の中ができていないようなことに風穴を開けていこう」というマインドだと思っています。創業初期にはモチベーションという言葉自体が浸透していないといったスタートだったところからでいくと、そういったアンチテーゼを世の中に強く発信していくには、そのあたりの強さというのが当然求められていくんだと思っています。あとはコミュニケーションとかそういったところでの気持ち良さとか。また、私たちの中では頭のシワと心のシワと言っているんですが、頭の良さという意味での頭のシワと、あとは人の気持ちがわかる心のシワがたくさんあるような、そんな人たちと共に働きたいなと思っています。
 
ーーもう1つが、M&Aで一緒に働かれるとなると、そこの理念浸透や文化みたいなところはどう醸成させていかれるんですか?
 
川村:
象徴的な取り組みとして、弊社が大事にしたい考え方をまとめた「DNA BOOK」というものがあるんですね。もともとは代表の小笹が週に一回メールで自分の考え方を共有しようって配信し始めたものを本にしたもので、それを使って年に一回全社でテストを行っています。また、結果は全社でランキング形式で公表しています。
 

 
ーーちなみに内容はどういったことが書かれてあるんですか?
 
川村:
企業経営の根幹となっているような哲学的な考え方もあれば、リンクアンドモチベーショングループとして企業の売り上げ、利益をどういう捉え方をするのか、プロフェッショナルというのはどういう人たちのことを言うのか等。あとは例えば弊社のミッションがどういう考え方からできているのか、モチベーションエンジニアリングとは何なのか等、そういった多様なものをグッと凝縮して入れている感じですね。
 
ーー社員の方々の共通言語などは意識されていますか?
 
川村:
共通言語はすごく多いです。DNA BOOKやテストの取り組みもそうですが、共通言語作りを強く意識してやっています。先ほどの社内のコミュニケーションは血流だという話にも関わってくるのですが、やっぱり共通言語があるということがものすごくそのコミュニケーションコストというものを下げます。一言いえば伝わる状態というのが実はすごく大切でして、それはとても大事にしていますね。共通言語も大事ですし、外に発信する言葉というのにもやっぱりこだわりがある会社ですね。言葉で人の認識が変わると思っていて、だからこそ社内の言葉もそうですし、社外にはどういう言葉を使ってリンクアンドモチベーションという会社のことを伝えていくかについては、すごく丁寧に、大事にしながらやっていますね。
 

ーー今回のオフィスで特に気に入ってる場所はありますか?
 
川村:
個人的に気に入ってる場所は、私はもう圧倒的に灯台ですね。灯台のところに私たちが一番伝えたいものが凝縮してあるんですよね。あとはオフィス全体を作っていきましたが、私の所属する広報チームで中身をほとんど作っている場所が灯台だったんです。なおさらそういう思い入れもあるかもしれませんね。
 
ーー灯台には創業からのヒストリーがパネルになっていたりしますよね。
 
川村:
あとは動画社内報があったり、書籍があったりですね。一番眺望がいい場所で、Portというコンセプトの中で桟橋を通った一番先にある灯台というストーリーも含めて気に入っていますね。
 
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ーー今回執務スペースでこだわられた点だったり、意識されていることってどういう点でしょうか?
 
川村:
執務スペースで徹底的にこだわったことは、まずはさっきも申し上げたように壁や仕切りがないこと。あとは例えば働く仕事内容によって席は変えてしまっても良いと考えています。弊社ではデザインアドレスという呼び方をしているのですが、それは結局「どこでも自由に座ってね。」ではなくて、「部署はちゃんと決めさせてね。その中で自由にやってね。」というシステムです。ただし私たちがオフィスを作る中で、例えばこの先M&Aで新しく入ってきたとか組織の編成を変えたとか、そういうことがあるとまたレイアウトの変更が必要ですよね。いかにスピーディーにそこに適応できるか、実はそこもオフィスの中で目指したことでした。そのためには各個人がある意味フリーアドレスのように、いつでもどこでも働ける状態を作らなきゃいけないなということで、働く内容で場所を選ぼうというのは変えました。あとは、コミュニケーションをどういう風に誘発していくかがすごく大切なので、動線は確保したまま机の角度をずらしたりして交流が図れるようにしましたね。
 
ーー700人からまた組織が入ってくるということまで想定されて作っていかなきゃいけないので、可動性とコミュニケーションが起きる場所を作っていくというところを意識されていたんですね。
 
川村:
この間もM&Aでジョインした企業は英会話のツールを使った英会話スクールを展開している会社で、模擬授業を弊社のスペースで社員に対して行ったんです。そこから実際に何人か入会するなんてこともありました。
 
ーーもともと根幹があって、そこからシナジーがあるということで、M&Aされてるのでそれぞれがどんなことをやっているのかを理解していくことが大事ですよね。
 
川村:
やっぱり互いに理解ができていないということは、逆側に行ってしまうと相互不信に陥るんですよね。それは組織のモチベーションをグンと下げることになってしまうので、そういった意味では部署・法人の理解にはすごく力が入りますよね。
 

ーー御社の採用に関してなんですが、新卒と中途どちらの割合が多いですか?
 
川村:
新卒が多いです。モチベーションエンジニアリングが世の中にないので、基本的には経験者っていうのはあまりいないということが一点と、DNAをより濃くという意味では、新卒が基本的には多かったですね。創業して、翌年には新卒採用していましたから。会社とか組織って大きくなればなるほど、例えば法人や階層が増えたりするじゃないですか。つまり文化は分かれていく方向になるものを、いかに束ねていくかという部分にエネルギーを注ぐことがこの拡大をしていく中においても、非常に強い組織力を保てるかどうかの大事なポイントになるんです。オフィスが一緒になることで、今まで離れているといまいち把握しきれなかったことも、すごく入りが早くなりますよね。
 
ーー意思決定が非常に早くなりますよね。
 
川村:
そういう面でも、ワンフロアの見えないところでの価値というのは大きいなというのはありますよね。
 

ーー最後に、今後の御社の展望だったり、ビジョンについてお話をお聞かせください。
 

 
川村:
我々は自社の役割定義をするにあたって、日本を一つの株式会社として見立てています。今日本株式会社の抱えている問題は、労働力人口の減少が一番大きいと思っています。労働力人口の減少が起こってくると何が必要かというと、当然のことながらいかに労働力を増やしていくのか、そのためには今まで以上に多様な人材に活躍してもらう必要があります。それこそ育児を終えられたような女性とか、不就労者であったりとか、シニアの方であったりとかです。あとはいかに従業員の生産性を高めていけるか。もしくはそういう生産性の高い会社、組織を日本株式会社の中にどれだけ増やせるのか、そういうことを意識して、私たちは自社を、日本株式会社の組織開発部と人材開発部と役割定義をしています。これからの日本を見据えたとき、日本株式会社の組織開発部として、日本の組織をどういう風に強くしていけるのか。人材開発部という考え方でいえば、海外の人たちにももっと日本で働いてもらいたい。もしくは日本株式会社にいる、構成員の生産性を高める。これからどんなキャリアを生産性高くつけてもらえばいいのかという視点だったり。あとは配置としてマッチングの話で、いかに適切にやっていくのかとか。その視界の中で、我々が担うべき役割をもっと大きく広げていこう、これがうちの今の考え方ですね。これからのグローバルへの展開としては、日本で働きたい外国人材のリクルーティング拠点として広まっていくでしょうし。あとはやっぱり組織の診断ツール。組織の中ではこれからエンゲージメント(企業と従業員の相思相愛度合い)が大事になってくるはずです。私たちは、エンゲージメント度合いを可視化・数値化するエンプロイーエンゲージメントサーベイを持っていて、それは世界に展開していけるツールになるかなと思っています。
 
ーー世界でご活躍することを期待しております。ありがとうございました。
 
ー川村様、貴重なお話を誠にありがとうございましたー
 

取材協力:株式会社リンクアンドモチベーション 川村 様

 

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