
お部屋紹介はVRの時代へ|大手不動産メーカーがVRを導入する理由
(画像引用元:RICOH THETA360.biz)
2016年に最新ITトレンドとして徐々に注目を集め、今ではVRと聞いたらその名前を知らない人は少なくなってきましたね。しかし、VRって実際何に使えるの?と疑問に思う人も多いと思います。そこで今回の記事では、VRの基本的事項に触れながら、VRと相性の良い不動産業界のVRビジネス活用方とその効果についてお伝えしていきます。
本記事の内容
VRについての基本情報
「VR」という言葉が先行して世の中に出回っている今、正しい意味や価値をしっかり理解することが重要です。そもそもどういった技術のことを「VR」と呼び、どういったことができるのかをこちらでご説明します。
そもそも「VR」とは?
▼「VR」について基本的な意味はこちらから▼
VR(バーチャルリアリティ)とは | 語源と歴史から考える
近頃、よく耳にする「VR」。正式名称は「Virtual Reality(ヴァーチャルリアリティ)」と言い、「五感に働きかけて脳を錯覚させることで、現実ではなくとも本質は同じような環境を、まるで現実であるかのように知覚させる技術」のことです。ヘッドマウントディスプレイと呼ばれるゴーグル型のデバイスを用いて、実際にその場に行かずとも、あたかもそこにいるかの様な感覚を体験できる技術として近年注目されています。また、2016年はVR元年とも呼ばれており、多数のデバイスが誕生したことでVRを身近に感じる機会が多くなったように感じます。
「VR」でできること
先に述べたように注目を浴びているVRですが、VRと聞くと、ゲームやアトラクションのようなエンターテイメント要素が強いものを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
消費者の意識調査を専門に行っている会社がVRの調査を行ったところ、VRと聞いて思い浮かぶイメージの上位を占めたものは映画やアニメ、ゲームといったエンターテイメント業界のものになっています。
しかし実は、消費者の意識とは反してVR技術はエンターテイメント領域だけに止まらず、不動産業界や自動車業界、観光業界のようなビジネス領域まで使用用途が広がっています。技術の一般化が進み、企業のVRへの参入障壁が低くなってきましたためです。そしてこの変化に伴い、一般消費者への普及も進んでいます。ここからはその例として、ビジネス領域でのVR活用法についてご紹介します。
不動産業界におけるVRビジネス|導入のメリット
特にVRと相性が良い業界は不動産業界と言われています。不動産業界では、VR技術を活用して店舗やWebサイト上で物件を擬似内見できる「VR内見システム」を導入しました。
このシステムは、実在する物件を撮影し、VR化したデータを賃貸仲介・賃貸管理・売買仲介等の物件案内時に使用するものです。これにより内見をより手軽に、短時間で行えるようになったため、お客様の満足度向上・事業者の負担軽減の2つをクリアしています。
ここからは不動産業者が実際にVR内見を導入する理由をご紹介します。
現地に赴く必要がない
まず消費者のメリットとしてもっとも大きなメリットとしてあるのが、「現地に赴く必要がない」という点です。時間や手間が省けることはもちろん、遠方にいるため赴くことができない人もしっかりと内見を行うことができます。
そうすることで実際の内見なしで入居した後に起きるギャップの差を埋めることができ、思っていた部屋と違う、という問題を回避することができます。実際に海外にいるために現地に訪れることのできない顧客に対しVR内見を用いたのが、「住友不動産」です。いち早くVR内見を導入し、カメラの会社で有名なリコーが提供するサービス、「THETA 360.biz」を使ってVRでの内見を行っています。
住友不動産が課題として持っていたものは、海外の顧客が内見できず、入居後にイメージとのギャップを感じてしまうというものでした。そこでVRによってネットでの内見を可能にすることで、海外にいる顧客にも内見してもらい、実際に部屋に訪れた際のギャップをなくすことに成功しました。
人件費削減
実際に現地に赴かなくて助かるのは顧客だけではありません。店舗側のスタッフも、内見を行うためには実際に現地まで案内し、顧客が満足するまでいくつもの場所に付き合う必要があります。もちろん時間も手間もかかり、コストのかかる業務だと言わざるを得ないでしょう。
ですがVR内見を導入し、店舗内でパソコンを見てもらうか、ヘッドマウントディスプレイをつけてもらうことで完了するようになったため、移動の時間や拘束時間がなくなり、コスト削減につながります。
広告費削減
VRでの内見というと、それだけでコンテンツとしての力を持ちます。リクルート社が運営する不動産サイト「SUUMO」ではVR内見に関わる面白い取り組みが行われました。
都内のコンビニや駅で無料配布された「SUUMO新築マンション(首都圏版)」というフリーペーパーには簡単に作成できるVRゴーグルが付属しており、それを使って「SUUMO」のアプリ内でVR内見ができるというキャンペーンが行われたのです。
無料でVRゴーグルが入手できるということもあり、フリーペーパーはあっという間に配布終了。大々的な広告を出す必要もなく多くの人がアプリをダウンロードし、SUUMOでのVR内見を体験しました。VRの注目度を活用した広告費用削減のためのアイデアと言えるでしょう。
空室期間の減少
入居者が退去する前の、部屋の内見ができない状態だったとしてもVR内見は行えます。そうすることで前住居者が退去したすぐ後に入居することができるようになり、空室を在庫として抱えている時間が減少。部屋の回転数が上がり、商品として稼働している時間を増やすことにつながります。
「東急リバブル」は顧客がチラシのQRコードを読み込むことで物件内のパノラマ映像を閲覧できるシステムを採用しており、このサービスを用いてスピーディに部屋を稼働させることに成功しています。
他の賃貸物件との差別化
またVR内見を用いることで他の賃貸物件との差別化を図ることができます。直接内見に訪れなくてはならない部屋よりも、より手軽に見ることができ、また興味を引くことが可能なVR内見はこれからの賃貸には必須です。
進学のために一人暮らしをする予定の学生が、まず実家で親と一緒に部屋をVR内見してから入居を決めたという「株式会社アルティメット総研」の事例もあるほど。全国どこにいても内見できるという強みで他の賃貸物件と差別化を図っています。また内見に時間をかけたくないという意見も、スピーディに対応することのできるVR内見でクリアしました。
まとめ
今回は数あるVR導入業界の中で、不動産業界に焦点を当ててご紹介しました。このように徐々に広がりを見せているVR内見。そのメリットは上述したように様々です。VRの導入は不動産業界にとっても、顧客にとっても非常に良い効果があることがわかりましたね。しかし、日本におけるビジネス領域でのVR導入は、不動産業界だけに限らずまだ浸透途中です。これからまだ可能性が広がり続けるであろうVR、これを機に導入を検討してみてはいかがでしょうか?
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