『2017年おしゃれオフィス20選』第13弾は株式会社株式会社プレイドです。約2年前に始めたばかりのweb接客プラットフォームが、導入1,430社と急成長をとげています。社員同士のコミュニケーションを育むためにオフィスの壁をなくし、月二回席替えを行うなどのこだわりについてお話を伺ってきました。
本記事の内容
web上の接客を可能に
○代表取締役 倉橋健太 様(以下倉橋)
弊社は2年前の3月12日にweb接客プラットフォームの「KARTE(カルテ)」というサービスをスタートし、今1,430社に導入頂いています。準備を含めるとちょうど4年くらいなのですが、インターネットって基本的にサイトやサービスにどんな人が来ていて、今どうしているのかって見えないので、その辺りを見えるようにしたいと考えたのがはじまりのサービスです。アクセス解析で「昨日の訪問者」「ページビュー」を調べることは簡単にできますが、その一人ひとりがどういう人で、どんな風に使っているのか、というのはなかなか見えないですよね。それを解決するために、データからリアルタイムに人の動きを見て、それでweb上の接客を実現しようと。サイトに訪れる人の心理状況や購買意欲って、リアルタイムで変わるじゃないですか。今まではその変化をデータで捉えることができなかったのでそれを全て捉えられるようにして、アクションかけられるようにしたのが特徴です。ECや金融、不動産など、様々な業界にご利用頂いています。
●LIFE STYLE代表 永田(以下永田)
創業というか起業の経緯を聞かせて頂けますか?
○倉橋
私は新卒で2005年に楽天に入社したのですが、入社した時点で将来独立する、と決めていたんですね。楽天は当時、どこよりも成長していたので、「成長をつくる」経験が出来るだろうというのが入社の動機でした。入社から5年目から起業について考え始め、2011年、28歳の時に独立しました。当初のサービスは今とは違い、アプリ開発だったんです。楽天ってBtoBtoCで、BtoBの側面の強いビジネスだったので、CtoCのスマートフォン向けのサービスを作りたいと考えてアプリ開発を進めていました。ある程度順調に進んでいたんですが、創業して10ヶ月目くらいで、事業をイチから見直し、体制からもう一度整える決断をしました。そんなタイミングで、友人の紹介で現CTOに出会ったんです。年も一緒で私と同じくサッカーをやっていて、最初からめちゃめちゃ気が合ったんです。彼がジョインしたタイミングから今の「KARTE」につながる事業構想を2人で練りはじめました。
最初は月額9,800円の六本木アカデミーヒルズからのスタート
●永田
創業当初はどんなオフィスだったのですか?
○倉橋
一番最初は六本木ヒルズの会員制の「アカデミーヒルズ」でした。朝から晩までずっとそこにいるっていう感じでしたね。その後、渋谷の一軒家を間借りしました。シェアオフィスのような感じではなく、空き家だったところを一部お借りして。そこに一年数ヶ月いた2014年8月、メンバーが7人くらいの時に、一つ前のオフィスになる恵比寿に移りました。恵比寿は27、8坪くらいで20人ちょっと。最後はもう、なんか息苦しいみたいな感じでしたね。そして現在のオフィスに移転してきましたが、ここがちょうど150坪です。恵比寿オフィスがもうぎゅうぎゅうだったので、最初は「この無駄なスペースはなんだ!」とちょっと戸惑いましたよ。最近増席して全部で80席くらいで、社員数もこの一年で30名から60名くらいになりました。
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●永田
だだっ広かったオフィスが、今やっとしっかり埋まってきた感じなんですね。実は弊社も3月に増床したばっかりなんですけど、先月まで50坪で、今従業員がだいたい50人くらいなので同じような状況で。そこから今130坪で、急にとてもゆったりとしたところです。エンジニアさんなど作業を集中してやる人と営業のメンバーだと文化が大分違いますが、職種や文化が違う方々もオープンにコミュニケーションは取れていますか?
○倉橋
そうですね。弊社の特徴として、エンジニアサイドとビジネスサイドが非常に仲が良いんですよね。なので、席もあえて仕事内容で分けずにぐちゃぐちゃにしていたりするんです。混ざって座っていても違和感はなく、むしろ「自分と違う役割の人と日常的に喋りたい」という願望があるんですよ。集中したいときは席を分けるときもありますし、でもその期間が終わったらもう一回ぐちゃぐちゃにまぜたりとかしたりして。多い時は一ヶ月に1、2回は席替えをしたりしています。どれだけ小さなオフィスで距離が近くても、やっぱり近い人と話すじゃないですか。そういう意味で、色々な人と席が近くなるって大切なんじゃないか、と。色々なコミュニケーションがもっと自然にできるように、私個人としては座席はけっこう重視していますね。
壁を取っ払い、3面をガラスに囲まれた閉塞感の無いオフィス
●永田
月に2回の席替えとはすごいですね。倉橋さんが今のオフィスで気に入ってるポイントってどんな点ですか?
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○倉橋
全体的なところでいうと、壁がないところですね。どこに誰がいるかっていうのがパッとわかりますし、「壁が無いんですね」と驚かれる方は結構いらっしゃいますね。あとは、3面がガラスで光もたくさん入ってくる閉塞感のなさ。こういった全体の雰囲気がとても気に入っています。また、場所としてはカフェスペースも好きですね。ここで座って仕事してる人もいますし、お昼にみんなでお弁当食べながら、全員でアクティビティというか、チームビルディングみたいなことをしたりとか。豆から挽いてコーヒーをドリップしたり、裏側の冷蔵にはお酒とかいっぱい入ってて、夜このまま飲むメンバーもいますね。月2回は飲む機会があるのですが、私含めて日本酒好きのメンバーが多いので、日本酒を10本、20本並べてみんなで飲んだり、ケータリングでご飯を食べたりしているんですよ。
「有給休暇の意味って何だろう」という疑問
●永田
社員同士の良いコミュニケーションの場になっているのですね。段々人数が増えて来ると、どうしても良くも悪くも「会社っぽく」なっていくと思いますが、その中で縦割りにならないように意識している取り組みはありますか?
○倉橋
組織が大きくなるとどうしても、きれいに整理整頓されていくようになりますよね。
なので、私は事業も組織もそうなんですけど、とにかく本質的なところを考えるようにしているんです。例えば、「そもそも組織って本当に必要なのか」とか「就業規則で有給っていうのがあるけど、有給って何なんだろう」とか。そういうことは結構一から考えます。有給って、本当によく分からないな、と思っているんですよ。有給日数が少なかったり無かったりする人が風邪や家庭都合で休むと、お給料が減る仕組みですが、それって「働いた時間」に賃金を払っている、ということですよね。でも私たちはパフォーマンスに対しての対価を支払っているので、仮に休んだとしてもトータルのパフォ−マンスが高ければ問題ないと思うんですよ。そうなると有給に日数制限がある意味がわからないから、無制限にしたらどうだろう、とか。そういったことを一から考えて、納得のいくシステムにしていきたいと思っています。
●永田
弊社もちょうど3期目に入った時に、管理体制や就業規則,人事制度などをしっかり作り直したのですが、そこでやはり最初に出て来たのが「制度ってなんで必要なの?」っていうところでした。労働基準法ってどこから始まったんだろう、とか、元々の制度って工場で働く人のためのものだったんじゃないか、とか。そんなところの疑問を全て投げかけながら、働き方を作っていきましたね。
○倉橋
そうですよね。色々調べたことが正しい訳ではなく、自分たちが感覚的に納得できることが大切なんですよね。でも、それすらもPDCAというか。事業だけでなく働き方だって色々チャレンジして事業と同じくらい真剣にやらないと、と思っているので、組織の枠組みもこれまで数ヶ月単位で変えまくってるんですよね。常に「これで良いのか」という疑問を持ちたい、と思っています。
●永田
組織の枠組みを数ヶ月で変えるというのもすごいですね。そこまで常に最適化を模索している中で、採用に関してはどんな基準を設けているのでしょうか?
○倉橋
実は今まで、「これができるから」と、能力が決め手で採用したことは過去に一度もありません。もちろん最低限のスキルベースはありますが、それが基準になるということはまずありません。面接で人に会った時、スキルそのものより「真面目だな」「明るい感じだな」とか、そういう部分しか見ていない気がしますね。あとは、一緒に話していて楽しいかどうか。結局会社の仕事って、「何をやるか」より先に、「誰とやるか」というところから始まりますよね。そうなると、やはりまずは「人として好きになれるか」というのはお互いにとても重要だと思います。あとは、その人の思考の傾向として、何かを生み出す方に話を持って行く人は良いなと思いますね。
●永田
御社の採用は、実際には紹介や一般の求人など、どういったケースが多いですか?
○倉橋
結構流動的なんですけどね。今の社員のみんなでいうと、半分強くらいがいわゆるリファラルで社員からの紹介ですね。その次に多いのがWantedlyで、最後にエージェントです。弊社で正式に人事や採用の責任者を置いたのはまだ昨年の四月なので、様々なチャネルを試してみていますが、実際にはまだまだ始まったばかりですね。紹介のような近い人ばかりでもダメだとは思いますが、確実に信頼出来る人が来てくれるというのはすごくありがたいことですよね。ちなみに社員の平均年齢は32歳くらいで、30代前半が中心にいて、その前後に色々いるかな、という感じです。一番上は40歳ちょっとくらいなのですが、ビジネスサイドであれば例えば楽天とかグリーとか、そういうITですごい勢いで伸びた時期の成長期にいた人たちが多いんです。そういう面々は実力もあり頑張るのでとても信頼感が持てます。そして、スタートアップに加わったことで、いきいき自分を発揮してくれています。「成長も経験したけど、もっと大きなことやりたい」という野望に満ちた人が多いというか。そういう人がジョインしてくれているのは、採用担当者と採用にコミットしてくれているメンバーのお陰だと思っています。
「データによって人の価値を最大化する」を実現する
●永田
では最後に、今後のビジョンをお教え下さい。
○倉橋
インターネットを活用した事業って、例えばネットショッピングみたいにインターネットで完結しているものから、オフラインに繋がるものまでありますよね。今後はますますその流れが加速して、いわゆる「インターネット」は、リアルとどんどん混ざっていくと思っています。それに伴い、「人」に関わるデータはどんどん増えて行くので、あらゆるシーンで使われるようなサービスを作りたいと思っています。全てのサービスは、「人」から「人」に価値を提供するものなので、相手の事を分かっていた方がいいに決まっていますよね。「今までは見えていなかった動きや価値を見えるようにする」という根本的な変化を、オンライン・オフラインに限らず全ての業界に持って行きたいと思っています。弊社のミッションとして「データによって人の価値を最大化する」というのがあるのですが、データを活用して人を可視化することで、サービスの持っている本来の価値、作った人の想いを提供する先に100%きちんと伝えたいと考えています。今後確かに、AIだなんだで、様々なものが自動化されていくとは思いますが、価値の最大化ができるのはこの先も「人」でしかないと思っています。だからこそ、「人」のアウトプットを最大化するために、データの見地から支援したいと思っています。
●永田
それはとても楽しみですね。本日はありがとうございました。
ー倉橋様 貴重なお話を誠にありがとうございましたー
株式会社PLAID 代表取締役 倉橋健太 様