
VRの歴史を紐解く|VRヘッドマウントディスプレイの歴史
2、3年前までは何か遠い世界のもののようだった「VR」。最近では、テレビや雑誌などでも普通に目にするようになり、一気に身近かになりましたね。昨年2016年が「VR元年」と呼ばれただけあり、様々なデバイスが生まれたり360度VR写真を簡単に撮影することができるカメラが数多く発売され、一般のユーザーにも手の届く存在となったのですね。
そういうと、ここ最近生まれて一気に広がったカルチャーのように思われるかもしれませんが、実はVRの歴史は古く、実に半世紀近い歴史があるんです。今回は意外に長い、「VRにおけるヘッドマウントディスプレイの歴史」をご紹介します。
VRとは?
VRとは「ヴァーチャル・リアリティ」の略語で、簡単に言うと「非常にリアルな景色や風景で脳を錯覚させ、現実でないものをまるで現実であるかのように知覚させる技術」のことです。主に頭にゴーグルのようなデバイス、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して体験することができます。トラッキング機能が付いているヘッドマウントディスプレイでは、頭を動かすことによって映像も併せて動かすことのできる機能もあります。
最近ではVR技術は様々な分野で取り入れられており、飛行機の操縦訓練や、医療にも利用されています。もちろん娯楽や一般のユーザー向けにも続々と新しい試みが行われており、今後もますます大きくなっていく市場だと想定されています。
ヘッドマウントディスプレイの歴史
それではここから、過去から現在におけるヘッドマウントディスプレイの歴史を、VRの市場にとって重要な出来事を中心に紹介します。
最初のヘッドマウントディスプレイ
VRの始まりがいつからかというのは諸説ありますが、最初のヘッドマウントディスプレイと呼ばれているデバイスは、1968年にコンピュータ研究者アイバン・サザーランドが生み出したと言われています。
(画像引用元:cnet)
こちらにはトラッキング機能もちゃんと付いており、頭を動かすことで映像を動かすことのできる作りになっていました。
その後1980年にはVRL Researchによってリリースされた「The Eyephone」というヘッドマウントディスプレイ、「The Data Glove」というグローブ型の入力用のデバイスなども発売されます。
(画像引用元:unboxholics.com)
1990年代にはVRブームが巻き起こり、1991年にはアップルが画像をシームレスにつなぎ合わせることのできる「QuickTimeVR」を発表しました。またテーマパークへの使用や家庭用機器の発売などがあり、VRは注目を集めましたが、当時はあらゆるデバイス、機器がまだまだとても高額。その上VR体験をするには非常に大規模な装置が必要であったことから、全く広まりませんでした。その後もいくつかVR機器は誕生するものの、一般にはなかなか根付かず、何度も「今回こそVRのブームが!」と騒がれはするものの、不完全年燃焼のまま終わってしまっていたのです。
「Oculus Rift」の登場
(画像引用元:oculus公式サイト)
そんな中、2012年に「Oculus Rift」の開発版が世の中に登場します。これこそがVRを一般に広めた、立役者!製品版は2016年3月の発売ですが、このデバイスが登場したことによってVR技術が広く世界に認知されるようになりました。今までのデバイスと最も違うところは「安価で手軽に、高品質のVR体験」を得られるということ。
「Oculus Rift」の登場後、競うように様々なヘッドマウントディスプレイが登場します。「GearVR」「HTC Vive」「PS VR」などの特色のあるヘッドマウントディスプレイが発売され、VR技術が一般の家庭にも非常に近いところまでやってきました。
2016年が「VR元年」と呼ばれたのは、このような「Oculus Rift」「HTC Vive」「PS VR」など、我々が身近かに手に取れるデバイスの発売が立て続けにあったから。ちょっと遠い世界のもののようだった「VR」という革新的な技術がめざましい進歩を見せ、普及の第一歩を踏み出した年と言えるのです。
ホロレンズの見せる未来の世界
(画像引用元:マイクロソフト公式サイト)
正確にはVRとは違うのですが、2017年4月現在、今またさらに新しいデバイスが注目を集めています。それはMicrosoft社がリリースしている「HoloLens(ホロレンズ)」です。一見すると、ちょっとごっついサングラスのようではないですか?現実の世界とホログラム映像をミックスすることのできるMR技術が用いられており、まだまだ開発版ではあるものの、こちらもまた様々な分野で扱われることが想定されています。
まとめ
半世紀に渡るVRの世界におけるヘッドマウントディスプレイの歴史でした。この数十年、何度も「今度こそ本当にブームが来るのでは?」と言われながらも消えて行ったVR市場。今回ばかりは過去のブームとはまるで違うことがお分かり頂けたのではないでしょうか。次は一体どんな驚きがあるのでしょうか。
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