X
    Categories: VRビジネスVR企画特集VR活用事例

スマートニュース株式会社|【2017年版】おしゃれオフィス20選

『2017年おしゃれオフィス20選』の第5弾は、「スマートニュース株式会社」です。同社が提供するニュースアプリ「SmartNews」は、2016年10月に2000万ダウンロードを突破したことでも大きな話題となりました。重視しているというクリエイティビティーを育むために、オフィスに関してどんな風にこだわりを持っているのかをお聞きしてきました。

2016年10月2,000万ダウンロードを達成 日々進化を続けるアスリート集団

○スマートニュース 人事・採用マネージャ冨田様(以下冨田)
弊社は「SmartNews」という、スマートフォン向けのニュースアプリを2012年12月から提供しております。このアプリの一番の特徴は、「人が記事をセレクトするのではなく、1日数千万という記事の中から『これが本当に話題になっている』『これが重要な記事』ということをアルゴリズムで分析して配信している」という点です。単に記事を選定するだけではなく、それが政治の記事なのか、エンタメなのか、はたまたスポーツなのかというカテゴライズも含めて、全て自動でやっています。本来ならば人が手動でやっていて非常に手間がかかっていたものを、機械がすべて選ぶという形で提供しているのですね。さらに徹底的にこだわっているのは、インターフェイスとアプリの「動き」。ご覧になったことがある方はご存知だと思いますが、SmartNewsは、指でペラペラとめくるような仕様になっています。指の動きに合わせてサクサクと動くとか、サービス開始当初の2012年はまだ地下鉄ではネットが繋がらないなどネット環境も整っていなかったので、「地下鉄でも見られる」「圏外でも見られる」など、ユーザーにとっての使いやすさを追求してきました。
 

人事・採用マネージャ冨田様
 
●永田
私も色々なニュースアプリがあるし、他のアプリに浮気したいと思っても、どうしても朝一にSmartNewsを開いてしまうことが習慣化しています。徹底したアルゴリズムや分析のお陰で、最適な情報が提供されているからなのですね。
 
○冨田
そうなんです。このサービスを提供すること自体も技術的に非常に難しいので、エンジニアは様々な改善や新技術の開発を日々行っています。「技術的なチャレンジをし続けないとユーザビリティーが良くならない」というのが我々のサービスなんです。常に進化をし続けなくてはならないという意味で、弊社は「エンジニアはアスリート」だと思っています。彼らの仕事はどうしてもハードで不規則になりがちなので、「エンジニアにとって働きやすい環境」「体に良い環境」ということにこだわり、オーガニック食材を使った社員食堂も作りました。また、外からも中からも健康になって欲しい、という思いから、週に何回か、サッカー日本代表のトレーナーさんが来てくれて、マッサージをして体を整えてくれたりもします。「エンジニア」という、基本的には不健康になりがちだけどクリエイティビティーな人たちに対して最高の環境を用意するということ。これが非常に大切にしていることです。

面接で会う人数は8〜9人!ミスマッチを防ぐための「非効率的」な採用法

●永田
御社の事業の中心であるエンジニアにとって最高の「働く環境」を提供しているのですね。御社の採用は、ミスマッチを防ぐために非常に多くの回数の面接を行うと伺いました。採用計画など含めて、詳しく教えてください。
 
○冨田
私は現在採用マネージャをしていますが、2013年の12月入社の時点ではまだ社員も少なかったので、マーケティングやセールスなど何でもやってきました。今は採用を強化しているということもあり、採用に専念していて一日4、5件面接を行うこともあります。ただ弊社の採用のハードルは高いというか、フォーカスがとても狭いので、4年かけてやっと60人くらいになったという状態です。人は慢性的に足りていないので、今年は「今までの4倍5倍くらいのスピートで人を採る」というのを昨年末に決めたばかり。弊社が一番重視しているのは、当社との「相性」です。ハードルを高くしているわけではなくて、フォーカスポイントが狭いので、とにかく一人でも多くの社員と会ってもらっています。私が入った時は社員が5、6人だったので全員と会いました。その後も10〜12人の人と会って話してもらっていて、「スマートニュースってこんな感じの会社でこんなことしてるんだ」ということをしっかり分かって欲しいと思っています。その上で「スマートニュースに入りたい」っていう人を我々も欲しいと思っていて、ここはとても重視しています。この方法だと両者ともに納得感が高い状態で最初の1日目を迎えられるので、ずっとそのスキームを続けていきたいっていうのはありますね。
 
↓↓画像の上でクリック&ドラッグすると、360°の景色が楽しめます↓↓

●永田
それは企業からするとミスマッチを防ぐという大きなメリットもある一方、時間が長くなることで採用したい方を逃してしまうというリスクもありますね。そのバランスこそ各企業が悩まれているところだと思います。

○冨田
そうなんですよ。やっぱりすごく時間がかかってしまうので、残念ながら並行して受けている候補者さんの場合、他の会社が先に進んで辞退されてしまうこともあります。今までの採用ペースならそれでも問題がなかったのですが、今年の採用計画だとさすがにそれは無理なんです。とはいえ採用の質自体を落とすことは絶対にしたくないので、選考のプロセスを少し短くして、会う人数ももう少し減らそうと。なので昔のように、4次5次面接までして11、12人と会う、ということは無くなりました。今は最大で3次面接まで、会う人数も8、9人程度です。
 
●永田
選考プロセスを短くすることで、採用人数を増やしていこうと。
 
○冨田
はい。予定では、この一年で今の倍の社員数になっているはずなのですが、それってちょっと怖いですよね。でも良い意味で、あまり変わらないようにしたいです。急に人数が増えると物理的にも精神的にも壁は増えていくと思うので、私は採用入り口よりも、入社後のケアが重要だと思っています。新しく入る人は、基本的に何年も続いているパーティに一人でパンと入れられるわけじゃないですか。だから基本的に辛いはずなんですね。なのでそこを誰かが、「困ったことありませんか?」「分からないこと、ありますか?」とケアすることが、長い目で見た時に大切だと思っています。弊社の土居は、そういう「社内コミュニケーション」を専門としているんですよ。
 

カタリスト 土居様
 
○カタリスト土居様(以下土居)
私は、「オフィス&コミュニティー」という部署にいます。冨田がマネージャなんですけれども、その中で社内のコミュニケーション活性化、社内と社外のコミュニケーションの活性化を図るようなことを担当して色々な企画や設計を行っています。その設計の一つとして、社食だったり、コーヒースタンドを設けることによって、社内にコミュニケーションが発生しやすいような状況を作ったり。社外と社内を繋げたり活性化させたり、という仕組みなどを考えて、行っています。元々飲食業の経験もあるので、キッチン周りにいることが多いですね。
 
●永田
土居さんの仕事は、「社内の人たちを繋ぐ」「社内と社外を繋ぐ」というコミュニケーションに特化しているんですか?
 
○土居
そうなんですよ。肩書きは、「カタリスト」です。弊社会長の鈴木がつけてくれたのですが。でもよく店長って呼ばれてますけど。カタリストっていうのは触媒って意味で、「人と何かと何かを繋げて、新しい形を作ったりする」というイメージです。それが人と人だったり、設備と人だったり、社外と社内だったり、あらゆるケースがありますね。
 
○冨田
以前彼は北海道のニセコでお店をやっていて、そこにうちのボードメンバーが、経営合宿みたいなことで行ったんですよね。そこでの彼のホスピタリティーがあまりに素晴らしいので、彼に社内・社外も含めた、コミュニケーションのハブになるような仕事をしてもらいたいな、と。彼は英語の方が得意なので、今アメリカにも13人スタッフがいますが、彼らとの間にも入ってもらっています。

こだわりの社員食堂

●永田
なるほど。社員のコミュニケーションをしっかり取るための様々な工夫をされているのですね。社員食堂設立にもそう言った目的もあるとのお話でしたが、ほとんどの方が社食を利用されるのでしょうか?
 
↓↓画像の上でクリック&ドラッグすると、360°の景色が楽しめます↓↓

 
○土居
どうしても外で食べざるを得ない方には食費の補助もしていますが、ほぼ皆さん社食で食べていますね。弊社の社食はオーガニック野菜で、非常に良質な食材を使っているんですよ。なので作る方はとても手間暇がかかるので大変ですが、それでも「数多くの面白い野菜を集めて、皆さんに美味しくヘルシーに食べていただきたい」という気持ちでやっています。あれだけオーガニック野菜で珍しい野菜をたくさん食べられるお店ってあまりないと思うんですよ。健康だけではなく「美味しい」もキーワードなので、毎日試行錯誤して味付けを変えながら、献立も毎日変更しています。そして3時になると、添加物を一切使ってないおやつが提供されます。会長の考えでもあるのですが、「ヘルシーとサステイナブル」というのは、弊社で非常に大切なキーワードです。

広すぎて50メートル走ができるオフィス!?余裕のある空間とイノベーション重視の設計

●永田
“アスリート”であるエンジニアの健康にも徹底的にこだわっているのですね。それでは次に、ここまでのオフィスの移転遍歴を教えて下さい。
 
○冨田
私が入社した2013年後半はまだ小さなシェアオフィスで、ちょっと喋ると他の企業の人たちも聞けちゃうような小さなオフィスで面接を受けました。それが2013年の10月で、同じ10月にシェアオフィスの向かいの、渋谷の桜ヶ丘の広いオフィスに移転したんです。具体的な坪数は覚えていないのですが、まだ8、9人しかいないのに、すごく広いところを借りましたね。あまりに広くて50m走とかできちゃうくらいでした。私はそこで入社したので、相当な開放感でしたね。そして人が増えてくるに従って当然手狭になるんですけれど、それでもまだまだ余裕がある状態で引っ越したんですよ。創業者である会長がとにかく新オフィスについてとても強いこだわりを持っていたので、特別プロジェクトを作ってコンセプトから設計まで、外部の方々にも協力を頂きながら、建築や人事、採用担当者含めて5,6人でチームを作っていましたね。

↓↓画像の上でクリック&ドラッグすると、360°の景色が楽しめます↓↓

 
●永田
会長はどんなこだわりを持ってオフィスを作ったのでしょうか?
 
○冨田
基本的には前のオフィスもそうなんですけど、とにかく「なるべくフラットで境目を作らず、滑らかに皆さんが繋がっていく」ということを大切にしています。その根底にあるのが、「我々にとって一番大切なのは、生産性を上げることではなくイノベーション」ということなんです。我々にはゼロを1にしたり、ゼロを100にするようなイノベーションが求められていて、それを可能にする創造性、クリエイティビティーを重視するような環境作りがまずは大事だと。なのでフラットに広いオフィスを用意し、つい立ては絶対に作らないと決めていました。なんとなく人が集まって気がついたらディスカッションが始まって、その裏からの商談が聞こえてきて、「ああこんな話してるな。あれにはこんなアイデアも生かせるんじゃないか」と色々なことが連鎖してくるような。ノイズが聞こえてくるっていうのは、一見うるさくて非効率なんですよ。でも、「そのノイズこそがイノベーションの源泉である」という考えがあるので、その動線であったりメンバー間が滑らかにつながる設計というのを非常に大事にして設計しましたね。
 
●永田
社内の方たちは自分たちで交流していく雰囲気だったり文化って強いですか?平均年齢も35歳前後と伺うと一人一人が大人で自立しているイメージもありますが。&

○土居
やはりある程度大人なので、みなさんご自身の領域を守りつつも、みんなと連携を取っていると思います。でも、自然と集まりやすい場所には集まっているので、バランスの良さを意識してるかなと思います。だからこそ社内のコミュニケーションは大切だと思っています。

二人がオフィスで好きな場所は「自分のデスク周り」とは違う場所

●永田
オフィスにはこだわりの仕掛けが色々ありますが、お二人がオフィスの中でいちばん好きなところはどこですか。
 
○土居
これ難しいなあ。好きなところいっぱいあるからなあ。私はいつも社内を動き回っていて席にいないことが多いんですよ。人の流れや雰囲気を見たいので。ランチ時はみんなが食べるところ、キッチンやコーヒー周りに事前に行って色々様子を見たり調べたりしているので、やはり人が集まるキッチン周りは好きですね。
 
○冨田
私も色々あって難しいですが、細かいことで言うと、弊社の壁はホワイトボードなんですよ、ほぼ全て。柱もそうなんですが、たまにエンジニアが寄っ掛かりながら喋っているうちに、なんとなく何かを書き始めて、それがどんどん下の方行っちゃって、「よし、今度これやろう!」みたいな風景が時々あるんです。そんな風に、彼らの情熱を一切遮らずに、滑らかに議論を進めるようにオフィスが存在してるっていうのが、ああ美しいな、って思います。

世界に羽ばたくニュースサービスに

●永田
そうやって自分のデスク以外の場所があるってとても重要ですね。他の社員の方々も、それぞれに「好きな場所」があるんでしょうね。では最後に、御社の今後のビジョンをお教えください。
 
○冨田
現在弊社は、日本と北米の2拠点ですが、さらにグローバルに羽ばたける会社になりたいと思っています。将来的にはSmartNewsが世界的に使われてるものになりたいですね。弊社がニュースのど真ん中からずれることは基本的にはないと思っていて、いつかスマートフォンというデバイスが無くなったとしても、どんな形にせよニュースに関しては一番信用できるサービスでありたい、と。「ニュースと言ったらスマートニュースである」という状況が我々の目指している世界ですね。世界で展開していくとなると当然言語の壁がありますが、ベースのアルゴリズム、つまり「何を評価して、どう配信するか」という基本部分はどこでも通用します。そういう基本的な部分をしっかりとした基盤として持っていてあとはそれを地域によってカスタマイズすれば良いだけ、というのは我々の強みです。日本から他の国に行くときに一番苦労するのは、そう言ったシステム部分よりも「見ている人、その文化がそれぞれ違う」という点だと思っています。例えば政治的な記事だと、右か左かということを気にする国もあれば、あまり気にしない国もあります。またデザインの好みも違いますし、そう言った部分でもローカライズが今後重要だと考えています。
 
●永田
ありがとうございました。ぜひメイドインジャパンで、世界を席巻して欲しいです。
 
ー冨田様 土居様 貴重なお話を誠にありがとうございましたー
 

取材協力:スマートニュース株式会社 冨田 様、土居 様

オフィス取材について相談する!

編集部 :