
「笑われたらあかん、笑わさなあかん」|芥川賞受賞作・又吉直樹の「火花」を360度VR画像で巡る
(画像引用元:吉本興業)
日本の文学界において最も栄誉ある賞の一つ、「芥川賞」。2015年に芸人の「ピース」又吉直樹さんが処女作「火花」で受賞したことで、大きな話題になりましたね。芥川賞は「純文学」というちょっと難しいジャンルで、「大衆文学」の賞である直木賞の方が若い世代にはとっつきやすいものでしたが、芥川賞初の人気芸人の受賞で大きなフィーバーを巻き起こしました。「久しぶりに本を一冊ちゃんと読んだ」という人も多かったのではないでしょうか。
今回は、今やすっかり、お笑いというより文化人のようなポジションになっている又吉さんゆかりの地を、360度VR写真にてご紹介します。
又吉さんはもともと読書好きで知られ、雑誌などで書評やコラムを書いていた経歴があります。作家として「文學界」にてデビューした時も非常に話題になり、多くの人々が芸人・又吉の書く作品に興味を持ちました。そして2015年7月に芥川賞を受賞し、小説家・又吉として広く認知されるようになったのです。
又吉さんの生まれた土地|大阪府寝屋川市
又吉さんは1980年に、二人の姉を持つ末っ子の長男として大阪府寝屋川市に生まれ育ちました。小学生の頃からサッカーを始め、インターハイに出場するという結果も残しています。両親曰く、「物静かでシャイな部分があった」そう。そこは今の姿につながりますが、「本を読んでいるというよりはサッカーばかりしていた印象の方が強かった」というのは、ちょっと意外ですね。
一方で、実際の練習風景を当時をよく知る高校時代の監督は、「又吉は練習時間の合間にいつも読書をしていた」と語っています。中学2年生の時に出会った太宰治に感化されたことで、一気に彼の世界観にのめりこむこととなります。なぜなら、『人間失格』の主人公の振る舞いは、自分自身の社会との関わり方そのものだったから。
とっくに亡くなっている作家が、自分の深層心理をえぐりだすような本を世に出していたら、それは大きな衝撃を受けたことでしょう。それ以来、大の太宰ファン、そして文学ファンとなっていったのです。
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サッカーに精を出した高校時代を過ごした北陽高校(現・関西大学北陽高等学校)
そして又吉さんは高校卒業後、お笑い芸人になるべく東京にやってきます。東京NSCにて日々勉強に励み、数多くの仲間を作った又吉さん。同期であった綾部さんとコンビを組み、今の「ピース」が出来上がりました。
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東京NSC前
10年以上もの下積み経験を経て、「ピース」の名前を誰もが知るようになった頃、趣味で訪れていた「文学フリマ」で編集者との運命的な出会いを果たします。
「火花」
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。
売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩神谷に出会った。そのお笑い哲学に心酔しつつ別の道を歩む徳永。二人の運命は。
(内容紹介より)
又吉さんは文学フリマで出会った編集者の依頼により小説家としてデビューします。この本が売れない時代に223万部以上も売れ、映画化、ドラマ化とずっと注目を集めていることはご存知の通り。
「火花」は、芸人を主役に据えて描かれた物語です。自身も芸人なだけあり、その心理描写には胸を打つものがあります。人を笑わせることが仕事の芸人も、深く悩み、人とぶつかり、迷いを持っているということを鮮やかに描き切った作品です。
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作品の冒頭と終盤に登場する熱海の花火大会の様子です。作品の登場人物の発言には心震わせるものが多く、我々に力を与えてくれます。瞬間、瞬間、火花が散るように全力でぶつかるその姿に日本中が感動しました。
まとめ
サッカーでインターハイ出場を果たし、芸人としての地位を確立し、作家としては芥川賞を受賞した又吉さん。3月の頭には第二作が発表され、今後のますますの活躍が期待されますね。
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