
【ITベンチャーおしゃれオフィス20選】株式会社売れるネット広告社
特別企画「ITベンチャーおしゃれオフィス20選」、第17回となった今回は、「株式会社売れるネット広告社」でお話を伺いました。
売れるネット広告社は、三菱商事やアサツーディ・ケイなどの会社でネットビジネスのマーケティングに従事し、実績を積んできた加藤公一レオ氏が、2010年に福岡市早良区に設立した会社です。
加藤氏が創業の地に選んだ九州は、独特のTVCMで有名な「ジャパネットたかた」をはじめ、青汁の「キューサイ」、健康食品やサプリメントの「やずや」など、名だたる通販会社がひしめき合う「通販王国」です。売れるネット広告社はこの通販王国で、通販に特化したネット広告のコンサルティング事業を展開し、驚異的な実績を挙げてきました。
その実績は首都圏のネット通販事業者の間でも評判となり、東京の会社とのビジネス機会が増えていきました。そこで2013年1月に東京オフィスを開設し、本格的に首都圏への進出を果たしました。
その後、東京オフィスでの事業がどんどん大きくなり、社員も増えたため、2015年4月に東京オフィスは千駄ヶ谷から西新橋に移転しました。以前のオフィスに比べると、新オフィスは床面積が約6倍にまで大きくなったそうです。
今回は西新橋の東京オフィスで、創業者であり代表取締役社長を務める加藤公一レオ氏のお話を伺いました。同業他社とは一味異なる事業戦略から、オフィスに込めた思い、海外で戦うための戦略など面白い話を聞くことができました。
株式会社売れるネット広告社 代表取締役社長 加藤公一レオ氏
本記事の内容
クライアントが「ズル」をするために手助けする
――貴社が展開されている事業の特徴を教えて頂けないでしょうか?
加藤公一レオ氏(以下:加藤):弊社では通販に特化した、ネット広告コンサルティング事業を展開しています。クライアント(広告主)には「ズル」をしてもらって、なるべく簡単に利益を上げてもらおうと考えています。弊社はズルをするためのノウハウを提供いたします。富士登山に例えるなら、8合目まではヘリコプターで簡単に上がってもらって、そこから頂上を目指してもらおうというわけです。
では、どうやってズルしてもらおうかという話ですが、例えばA/Bテスト(※)を実施しようとしている会社に対して、実施前に答えを提供します。これでクライアントはテストを実施する必要がなくなります。通販の世界では、とにかくあらゆる要素に対してA/Bテストを実施するのです。バナー、ランディングページ、メールなど、あらゆるものに対してです。
この会社を設立する前、私は前職のアサツーディ・ケイ時代も含め、15年間で合計200億円以上の広告予算をお預かりしてきました。お預かりした予算の中で、少しでも広告の効果を高めるためにA/Bテストを無数に実施しました。
弊社にはその経験があるので、通販会社で実施するA/Bテストについては、テストを実施するまでもなく、答えが分かるのです。例えば、ランディングページを一目見るだけで、どこをどう改善すべきかすぐに分かります。アイコンやボタンの色、フォント、キャッチコピー、申込フォームなど、すべて答えが分かります。そこで、クライアントにその「答え」をすべて提供して、「ズル」をしてもらおうというわけです。
このようなノウハウをお伝えする無料セミナーも開催しています。ほぼ毎週、東京で開催しているほか、無料の出張セミナーの要請にもお応えしています。
(※ A/Bテストとは、同じ効果を狙って作った2つのもののうち、どちらがユーザーから良い反応を得られるかを確かめるテスト。3つ以上を比較することもある。例えば、同じものを宣伝するバナー広告を2種類用意して、ユーザーがWebページにアクセスするタイミングに応じて2種類を出し分けて、どちらの方が広告効果が高いかを測定する)
大手メーカー系通販サイトの7割がクライアントに
――ネット広告コンサルティングを提供している会社はほかにもあると思いますが、他社との違いとしてどんなことを意識されていますか?
加藤:単純に通販サイトの広告を打って、その反応を計測するだけではなく、お客様がどれくらい商品をリピートしてくれるかなどといった、踏み込んだところまで意識しています。1年間で、お客様1人がどれくらいのお金を使ってくれているのかを示す「年間購入単価(LTV)」を最大化することを目標としています。
どの媒体に広告を出すかを考えて、広告を出す枠を取ってくる、バナーを作るなどは弊社から見ればスタート地点に過ぎません。その地点でとどまっている広告代理店が多いのですが、弊社ではそこからが勝負と考えています。
そのために、クライアントの顧客管理(CRM【Customer Relationship Management】)にまで踏み込みます。例えば、買い物をしてくれたお客様に送るフォローメールについても、内容や、送るタイミングまで考えています。さらに、商品に同梱する宣伝材料や、ダイレクトメールなどについてもクライアントと一緒になって知恵を出しています。さらには、商品開発や商品の値付けについてもアドバイスさせていただいています。
ネット広告コンサルティング事業を手がけている会社はほかにもあると思いますが、ここまでクライアントのビジネスに踏み込んで、一緒になって考える会社は弊社だけです。現在のところ、ライバルと言える会社は見当たりません。おかげさまで、日本の主要大手メーカー系通販会社の、およそ7割をクライアントとして抱えるようになりました。
弊社のクライアントは、総合広告代理店に任せても成果が上がらず、ほかのネット専業広告代理店に乗り換えてもやはり目立った成果は見えないということを経験しているところが多いですね。つまり、2回失敗して弊社に相談してくるわけですが、弊社が提供するコンサルティングによって、費用対効果が平均で6倍ほどに上がると言ってもらえています。
バブリーな、浮かれた世界にしていきたい
――東京オフィスについてお聞きします。オフィスの作りには、経営者の考えが現れると考えているのですが、このオフィスはどのようなこだわりを持って作られましたか?
加藤:その前に、弊社の企業理念について説明させてください。弊社では「バブリーな世界を作る」という理念を掲げています。今の日本の経済状況は決して良いとは言えません。浮かれた話を聞くこともありませんし、街を歩く人達もみんな下を向いているような感じがあります。
弊社はそういった状況をぶち壊してやりたいと思っています。そして一緒にバブリーな世界を作っていきたいと考えているのです。
オフィスもバブリーな世界にしたいと考えて作っています。浮かれていたころの日本の雰囲気を再現しようと思いました。受付に流れている音楽は1990年代のトレンディドラマのテーマソングです。そして、オフィスは原色の赤を基調として作っています。赤を基調としたオフィスなんて、ほかにはないと思いますが、バブルのころの派手な世界を再現しようと思って赤を使いました。
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執務スペース。赤を基調としている。
東京オフィスにはダーツマシンを置き、福岡オフィスにはビリヤード台を置いています。ダーツとビリヤードもバブリーでトレンディなものを感じさせると思って置きました。
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ダーツマシン。福岡オフィスにはビリヤード台を置いているという。
そして、この東京オフィスの窓からは東京タワーがよく見えます。夜になるときれいですよ。まさしくトレンディドラマの世界です。
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オフィスの窓からは東京タワーがよく見える。
私は社長として社員に「社員自身と会社が成長していくドラマ」を見せていきたいと思っています。社員にも、そのドラマを見ていってほしいと願っています。
弊社はまだ小さなベンチャーだと思っています。とはいえ、創業から5年ほどでオフィスの姿は大きく変わりました。この会社を立ち上げたときのオフィスはワンルームマンションでした。それから社員が増え、オフィスも大きくなり、東京にもオフィスができました。
たった5年ほどでも、会社はどんどん成長し、変化しているのです。これから社員ががんばっていけば、会社はさらに大きく成長し、変化していくはずです。現在の社員にはこう伝えています。彼らが定年を迎えるころには、六本木ヒルズの最上階のような豪華なオフィスにいて、社員数も1000人を超えるほど会社が大きくなっていると想像してほしいと。
そして、定年の日にオフィスを見渡して、「あぁ、自分たちの力でここまで来れた。会社が成長していくドラマを作れた。自分の人生をビジネスマンとして全うできた」と満足して、他の社員に見送られながらエレベーターを降りていくところまで想像してほしい、そういう人生を味わってほしいと言っています。
私は、人生はドラマだと思っています。そして、同じドラマならばバブリーなものにしていきたいし、社員にもバブリーなドラマを作っていってほしいと思っています。
人々に好かれるような雰囲気が大切
――新たに人員を採用するときは、どのようなことを意識していますか?
加藤:外見です。これは、カッコいいとか美人だとかいう話ではありません。その人が放つオーラのようなものです。世の中には、話していて気持ちいい、見ていて気持ちいいという人がいますよね。こういうところが大切だと考えています。
社員としてどんな人が入ってきても、正直に言うと実力を予測することはできません。実力がなければ、伸ばしていけばいいのです。その点、人々に好かれるような雰囲気を持った人なら、クライアントの前に出しても、どこに行ってもいい印象を持ってもらえる。仕事でも通用するものです。
そして、採用時の最終面接では自分自身を売り込むプレゼンをしてもらっています。コンサルタントという職業柄、プレゼンをする機会は多くなります。自分自身をプレゼンで売り込めない人が、仕事としてプレゼンをしても上手く行かないと思っています。こうして選んだ弊社の社員は、人前で話すことを苦にしません。新入社員も講師として人前に立っていますよ。
――社員の皆さんは、どのような雰囲気で働いていますか?
加藤:「バブリー」という企業理念を掲げて、浮かれた世界にしていきたいと言っていますが、社員の仕事ぶりは実に真面目です。広告費という形で、クライアントから大切なお金をお預かりして、それを倍にして返すのが私たちの仕事です。コツコツと、真剣にやっていかなければ勤まりません。
そして、社員の一体感がとても強いですね。会社として、月に1回飲み会を開くことを決まり事としていますし、社員旅行もそうです。昨年はハワイに行ったのですが、その時は購入すれば4億5000万円もする別荘を借りて、社員全員でそこに宿泊しました。今年はタイのプーケットに行く予定ですが、やはり数億円の豪邸を借りる予定です。
私はブラジル生まれのアメリカ育ちですが、会社の経営は日本的なもの、古き良き日本の経営スタイルを目指しています。日本人ならではの仲間意識を大切にしたいですし、皆で飲み会や社員旅行に行く文化も大切にしたいです。社員は終身雇用したいと考えています。私自身が外国で育ったからこそ、古き良き日本的経営の良さが見えるのだと思います。
「おもてなしの心」で海外に挑戦
――今後はどのような方向に事業を展開されるおつもりですか?
加藤:お話しした通り、弊社はコンサルティング会社ですが、一方で「売れるネット広告つくーる」というWebサービスを提供しています。このサービスには先にお話しした、弊社が蓄積しているノウハウを反映させており、Webページ上で簡単な操作をするだけでランディングページができてしまうというものです。現在、200ほどの会社がこのサービスを利用しており、かなりの売上になっています。
今後はこういうサービスを海外、特にアメリカで提供していきたいと考えています。日本の通販サイトは、日本人ならではの「おもてなしの心」を反映しています。それはCRMの緻密さなどにも現れています。このお客様を大切にするサービス精神は世界一のものです。アメリカやアジア各国とは、到底比べ物にならないくらい高いレベルにあります。
この「おもてなしの心」を持っていけば、全世界どこでも通用すると思っています。人間ならば国籍関係なく、もてなしてもらった方が気分がいいはずです。
どの国から展開を始めるかはまだ決まっていませんが、私個人としてはまずアメリカから展開していきたいと思っています。アメリカはダイレクトマーケティングやインターネット広告の先進国、いわばメジャーリーグです。同じ挑戦なら、メジャーリーグに挑戦したいと思っていますし、先にお話したように勝算もあります。
最近、Webマーケティングなどが流行していますが、そういう手法を信奉している人たちは技術がすべてを解決すると考えています。しかし、インターネットが一般人にとって普通のものになったのは10年ほど前。それくらいの歴史しかないのです。
一方、旧来のダイレクトマーケティングには100年以上の歴史があり、先人が命がけで積み上げてきたノウハウと貴重な知恵があります。私は、技術がすべてを解決するという考え方は間違っていると思います。先人たちが積み上げてきた、ダイレクトマーケティングのノウハウや知恵を、技術と融合させることこそが大切だと思っていますし、弊社はそれを実践しています。技術はあくまで道具であり、過信してはならないと考えています。
アメリカに進出することになったら、やはり真っ赤なオフィスを作りますよ!
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