【STORY × カルテット・イマジナリオ】「映像制作のノウハウで、360度動画の可能性に挑戦する」

筆者: 編集部

株式会社カルテット・イマジナリオはさまざまな技術を用いて映像制作を行い、ワクワクする映像コンテンツを創ることを目指している企業です。撮影、VFX(合成/エフェクト)、3DCG、アニメなどの融合表現を得意とする同社がVR表現を始めた背景や、現在どのような作品を作っているのかをカルテット・イマジナリオ加嶋一哲様にお話を伺いました。

ーー現在御社が取り組まれているVR事業について教えてください。

カルテット・イマジナリオ加嶋様(以下加嶋):
主に360度動画の制作を行っています。VRといっても僕の場合は実写の360度動画だけにこだわっていますね。現状やっているものとしては、案件というよりも自社制作でいろいろ試していることが一番多いです。あとはプロダクションからの下請けで撮影や編集、後処理の部分とか撮影後の作業なども行っています。

ーーそれはどういった企業からの依頼が多いのでしょうか?

加嶋:
企業のPVなどの制作をされているプロダクションのつながりが多いので、そういったところからの依頼ですね。商品の紹介のPVを360度動画として制作することとか、そういうことが多いですかね。

案件数としては360度ではない普通の実写の映像が一番多くて、たまに360度の案件があるという感じです。自分としてはもっとやりたい気持ちはあるのですが、予算の関係で流れてしまうことなどもありますから。

ーー制作されているコンテンツはどのようなものなのでしょうか?

加嶋:
もともとずっと自分の作品を360度で作りたいと思っていたので、360度の映像作品作りをしているという感じですね。知人のダンサーのつながりで、ダンスで実験映像的なものを何件か作ったりしています。今後は短編映画的なものもやりたいなと思っていますね。

実際に完成しているのが2つか3つぐらいで、1つがこのコンテンポラリー・ダンスの360度動画ですね。ちょっとアート寄りな感じの踊りで、先日行われたクリエイターEXPOでも展示していました。

↓↓画像の上でクリック&ドラッグすると、360度楽しめます↓↓

※スマートフォンでご覧になる場合は、YouTubeアプリで再生すると360度動画がお楽しみいただけます

ーー制作されたコンテンツはユーザーの方にどのように届けているのでしょうか?

加嶋:
主にWebですね。YouTubeやFacebookなどでバイラル的に、プロモーションとして流す想定です。ダンサーのホームページ、Facebookページとかに埋め込んで、繋がっている人に見てもらうことを想定しています。お互いのプロモーションになるように自由にどこにでも出しましょうという形ですね。

これが1つめに制作したものです。こちらはピアニストとのコラボで「月明かり」というタイトルです。

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ちゃんとした作品を360度で作りたいと思って、僕のほうで企画をして、声をかけて制作しました。知り合いのピアニストの方に曲を提供していただこうかなと思っていたのですが、自分も出演してみたいと言っていただいたのでそれなら是非と。中身としては、月は後から合成したり、ダンサーが分身したりする演出を加えています。

ーー分身しているものは2回撮影されたものを合成されているということですよね。

加嶋:
そうです、これがやりたかったんですよね。分身するのが動画の後半なのでここまで見てもらえるかというのが課題になったり、動いているものを合成したので切り抜きが大変だったりしました。一コマずつ合成したりしているんです。

ーー制作にはどれくらいの時間がかかりましたか?

加嶋:
撮影はもちろん一日ですが、仕事の合間に制作していたので2、3カ月はかかったかもしれないですね。最後にはダンサーが消えていく効果などをつけたりして。最初の作品だったので、いろいろやってみたいことを織り込みました。

ただこれだとまだ見にくいという意見もあったので、これのリトルプラネットバージョンのものを作りました。360度の使い方としてこういうのもありじゃないかなと思って。映像自体は先ほどのものと同じで、視点の演出を加えてHDサイズにしています。

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動きも音に合わせて視点移動させることなどでよりPVっぽい感じになるのかなと思います。見せたい方向を切り取って繋げているという感じですね。撮影したものを後処理してこう表現するのも面白いなと思ってます。

ーー特別なこだわりを持って制作されていることがわかりました。仕事として360度動画を制作する際にはどのようなこだわりを持たれているのでしょうか?

加嶋:
通常の映像を作っていてもそうなのですが、見ている人のことを考えて作ることですね。まずはどういう環境でその人が見るかで作り方が変わってくると思っていて、ヘッドマウントディスプレイなのか、Webなのか、スマホでなのか、そのどこをメインで流すかで作り方も変わるかなと思うので、それを意識するようにしています。

特に360度動画だとよく動くコンテンツの制作を希望されるクライアントも多いので、ヘッドマウントだと酔いますよ、Webとかだったらいいかもしれません、みたいなお話は結構しますね。

ーーなるほど。お一人で活動されているとのことですが、プロジェクトごとでサポートをつけることなどはあるのでしょうか?

加嶋:
仕事としての案件でお話があったりするときは、僕が企画構成等を行って、知人のカメラマンに撮影してもらう想定でいます。今のところはそれほど案件数がないので、1人でできる範囲でやっているという感じですね。もっと数が来るような時期が来たら、後処理の部分もコラボできる人がいるといいかなと思います。

ーー今後どのような領域のコンテンツを制作していきたいと思ってらっしゃいますか?

加嶋:
短編映画のような形で、ストーリーのある短編映画360度版みたいなものが作りたいですね。視聴方法として一番見てもらいやすいのはWebだと思っていて、ヘッドマウントディスプレイに絞ると見てもらえる機会が減ってしまうかもしれないので、両方で見れるというのが一番いいかなと考えています。

コンテンツの時間は、あまり長いと自分で見ていても疲れるので、3分とか2分とか短いほうがいいなと思います。ヘッドマウントディスプレイなどを持っていない人だとなおさら長くは見れないでしょうし。

ーーなるほど。それは仕事の領域でもストーリー性を持った提案をしていこうというイメージですか?

加嶋:
そうですね。今の制作物ではワンカットのものが多いのですが、やはりいろんなシチュエーションで撮ったものをカットで繋げたりということがしたいです。360度だとカットのタイミングも難しいとは思いますが、シチュエーションがどんどん変わっていかないと見ている人は面白くないので。その辺は通常の動画の作り方と同じかなと思っていて、飽きないように演出するようにして、見ている人を誘導したりするということを考えています。

ーーそういうストーリー性のあるコンテンツはどういうところと親和性が高いと思われますか?

加嶋:
ストーリーのあるコンテンツを作ることは、多分どの業種でも当てはまるのかなと思います。今はもうブランディングでストーリーを入れるのもすごく重要なことなので、それをあえて360度でやるとなったらどんな商品であれ会社のイメージであれものすごく説得力があって、没入して見てもらえるんであればすごく面白いかなと感じますね。ただ面白くないと飽きて外したくなってしまうと思うので、飽きさせないための面白さは必要かなと。

ーー加嶋様自身が360度動画を制作してみたいと考えられている業種はございますか?

加嶋:
通常の動画制作では製造業やIT企業のプロモーションなどが多く、その辺りの分野の制作は得意なので、また360度で表現することも面白いかなと思いますね。IT企業でいうとウェブサービスやアプリの紹介を360度動画で行うような。インフォグラフィックのアニメーションとかを360度で作るのも面白いですよね。

ーーありがとうございます。御社の特色をアピールするとすればどういったところになりますか?

加嶋:
やはり後処理の部分だと思います。実写との合成として実写の360度と、エフェクトとかCGとかの合成がコンパクトにできる部分です。360度の制作から始めると映像の加工なども別分野の話になってしまうと思うのですが、僕はもともと映像制作に携わっていたのでそういったところにも対応できるかなと。

ーー確かにここまで作り込んでいるコンテンツは珍しいですよね。最後に、VRの世界がこれからどうなっていくと思われますか?

加嶋:
今後はVRだけじゃなくて、ARと合流していくのかと思います。場合によってVRで見ることもあればARで見ることもあればということになっていって、ヘッドマウントディスプレイがコンタクトレンズみたいになっていけばより広まるのかなと。

僕はVRの方で、360度動画の可能性に挑戦していきたいと思っています。より新しいARやプログラミングに関わるところは自分の領域ではなかったりするので、必要に応じてそういう方とコラボしながらトライできればという感じですね。まずは映像として捉えた上で、自分の専門分野のところでいろいろ広げていきたいなと考えています。

ー加嶋様、貴重なお話を誠にありがとうございましたー

株式会社カルテット・イマジナリオ
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