
【STORY × ナーブ】「VRコンテナでデファクトとなるコト売りを」
ナーブ株式会社は、2015年10月に設立されたVRコンテンツプラットフォームの提供をおこなう会社です。プラットフォーム「NUR*VE(ナーブ)」を運営する他、「VR内見」や「VRトラベル」などのサービスを提供しています。今回は、プラットフォームの運営やVR業界の課題、そして今後ナーブ社が目指すものについてナーブのCEOである多田英起様からお話を伺ってきました。
ーーまず御社の事業内容についてお聞かせいただけますか?
ナーブ多田様(以下多田):
われわれは「コト売りのAmazonになる」というキャッチフレーズのもと、VRコンテンツプラットフォームの運営と企業へのサービス提供をおこなっています。サービス提供は幅広く手がけていますが、現在は旅行会社さんへの「VRトラベル」と不動産業への「VR内見」の二つをメインのサービスとしておこなっています。弊社ではもともと、VRコンテナというコア技術を作っていました。これは「なにに対しても使用できるVR」の技術なのですが、それを使って企業向けのVRテンプレートをサービスとして提供する中で、徐々に内見にフォーカスを当てて展開させていきました。
ーー御社のこだわりを教えていただけますか?
多田:
やはり「コトを売る」という点を意識しています。日常の中で私たちは欲しいものを購入し、そのあとで購入したものがどんなものかを体験します。通信販売では購入した商品を返品することも可能ですが、買った商品が物件や旅行となった場合はそれができません。なので、「購入後に体験する」という流れを変え、仮想的に体験してもらった上で買っていただくことを可能にしようと考えています。世の中がよりよくなっていく「コトを売る」、これがわれわれのビジョンであり、現在展開している「VRトラベル」や「VR内見」を始めた背景です。不動産においては、なんとかしてリアルな展望を経由していくのが基本です。それをVR技術を使って変えていくことができるのではないかと考えました。
弊社ではVR体験がもたらす感覚を重要視しています。仮想体験とはどういうことなのかをよく考えるようにしています。先ほどお話ししたように、人がものを買う時にVR体験を活用すれば、非常にいい効果をもたらすことは確かです。われわれは有意義な体験を軸にサービスを展開しています。
ーー「VR内見」のパッケージで見えてきた課題はありますか?
多田:
課題は当然たくさんあります。まず、先方にVRを見てもらうだけでは、弊社のサービスによってどのようないい効果があるかを伝えることはできませんでした。サービスがいかに良質かも大事ですが、同時にわかりやすくなければいけません。また、誰でも簡単にコンテンツが制作できるサービスでなければ、ユーザーに必要とされないことがわかりました。それは導入していただいた後にもいえることで、現在「VR内見」のシステムは2週間に1回のバージョンアップでいろいろな機能を追加していますが、根本にあるのはやはりお客様が使いやすい機能を、いかに作ってあげるかということです。
ーーお客様に「VR内見」がどのようなサービスかを理解してもらうためにしたことをお聞かせいただけますか?
多田:
まずはお客様に実際に見せることで、このサービスがいかに簡単で効果的かを体験していただきました。また、サービス提供を開始した当初は、弊社の思い描く未来の形やビジョンを共有することでサービスの魅力を伝えていました。そして、「より便利な未来を一緒に作りませんか」というお話をしました。まだ事例がないだけに、なかなか導入に踏み切れない方も多く、スタート時に導入してくれた会社は10社を切るほどでした。
ただ、弊社としてはあまり利益を上げることは考えていませんでした。弊社は、自分たちのサービスをあって当たり前のサービスにする、デファクトになることをゴールに置いています。業界として当たり前のように弊社のサービスを使ってもらい、より便利な世界を実現したい。では、どうすればそんな世界が実現するのか、ということしか考えていませんでした。
その後、弊社のファンになってくれた人たちに提案をしていって徐々に実績を重ね、現在はその実績をお伝えすることで仕事に繋げられるようになりました。全国チェーンの会社さんにもサービスを導入していただので、今では弊社のサービスを全国で使っていただいています。
ーーVRコンテナを使ったサービスには、他にどのようなものを提供されていますか?
多田:
BtoB向けのサービスとしては、教育コンテンツで使っていただいています。そのサービスではメディアの販促から入っていって、徐々に教育にも使っていくというやり方ができるので、VR基盤を弊社のサービスにすることでさまざまな使い方がある、という認識をされるようになっていくかと予想しています。
VRコンテナを使うと、どの業種向けのサービスを作るとしても開発面で必要となる作業はあまりありません。基盤が完成している状態なので、その業種に適した設定に変えるだけでサービスを完成させることができます。要するにIT基盤のVRバージョンです。
他にも、現在はトラベル系でインバウンドパッケージの展開もおこなっています。こちらはNHKさんからお話をいただきました。他には航空会社向けのパッケージを旅行会社さんに使っていただいています。「コト売り」に関して、弊社は誰よりもこだわってサービスを作っているので、システムとの重要性と一定の汎用性を作りながら、ユーザーさんに「ナーブのサービスがあればビジネスは成功してく」と思われるようなサービスを目指しています。ユーザー、そしてその先のエンドユーザーさんまでが弊社のサービスを使うことで豊かになる業界、業種を優先しながらやっていこうと思っています。
ーー海外への展開についてどのような構想を描かれていますか?
多田:
世界展開に関してはわれわれの中で一番大きなミッションだと考えています。海外でもサービスに対する基本的な思考は同じなので、サービスを「誰が操作するのか」「誰が見るのか」という点がクリアできれば、海外に展開していけるのではないかと考えています。
VRは、その他のITサービスの中でも唯一あまり言語が介在しないので、素材として比較的に海外展開しやすいものだと思います。それに対しどう注力しどう広げていくかということになると展開していく国によって違うと思うので、出遅れずベストな方法で展開していくことが大切だと思います。海外でもやはり、デファクトを目指します。
数年すれば、海外勢の中でも日本でビジネス展開を始める会社や企業は出てくると思います。そうなった時に太刀打ちできるように、今から海外勢を意識して、なにかしらの準備をしておかなければならないと思います。海外では資金調達で何百億も調達する企業がありますから、調達額に二桁ぐらい差のある海外企業に挑んでいくために、やれることは全てやっておかなければなりません。そう考えると、いずれ「VR内見」システムのバージョンアップが2週間に1回というのも回数的に少なく感じるようになるでしょう。そういった危機感を感じてはいますが、VR市場では世界を見ても未だに成功事例ないので、おもしろい市場だなと思っています。
ーー現時点で、多田様から見たVRの価値とはなんでしょうか?
多田:
VRは新しいプラットフォームだと思います。最初にVRを知った時、初めてインターネットでYahoo!を見た時くらいの感動がありました。完成はされてないけど可能性を感じさせられ、VRの中でさまざまな情報が共有される新しい場ができたら、そこからなにが生まれていくのかとわくわくしたんです。全く新しい社会に向けルールチェンジが行われる瞬間だと思いました。それがどういったルールチェンジになるのかは、これからVR業界でビジネスを展開していく人たちが決めていくことだと思います。VR技術は世の中をがらりと変える存在になる、では誰が中心にいるべきなのか、どんな社会にしたいのかを、弊社のような創世記メンバーたちで考えていかないと次に繋がりません。今後の展開は、面白くも、面白くないようにもできます。どちらになるかは、ポテンシャルを持ち、それをまとめてリードする人たちが何人出るのかにかかっていると思います。
ーー最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?
多田:
今後もやはり、「コト売り」と「デファクト」がベースになっていきます。ウエディングや自動車、あらゆる「コト売り」がナーブを使って購買される社会を作っていき、最終的には、われわれのサービスを使うことが当たり前のようになってほしいです。弊社のサービスを使わないことをイメージできないくらいの世界にしていきたい。「今から携帯電話がない時代を想像してください」というのと同じぐらい、弊社のサービスを欠かせないものにしていきたいです。それが実現してしまうほどVR技術は物事を大きく変えることができるし、生活をも変えることができます。弊社のサービスがあって当たり前、なくてはならない、当然のようにあるから感謝されなくなる。その状態がゴールだと思っています。
われわれの中のロードマップは、3年先ぐらいまで埋まっています。ユーザーからのフィードバックを基にブラッシュアップも勿論やりながら、われわれにしか作ることのできない未来を作っていきます。コンテナで新しい業界、新しい業種を一瞬で作ることができるというのがわれわれの最大の売りなので、新しい使い方を思いついて、一緒にやりたいっていう企業がいてくれると嬉しいです。
ー多田様、貴重なお話を誠にありがとうございましたー
ナーブ株式会社
〒100-0004 東京都千代田区大手町1-6-1
大手町ビル 465区
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