「100万人をVRの空間に送り込む」VR SPACEは仮想の世界をもっと当たり前に。

筆者:古城 芳明

VR SPACE株式会社様は、VR体験をもっと身近にするための渋谷初のVR体験ショールーム「VR SPACE(ブイアールスペース)」を運営しており、企業向けVR関連サービスの提供の一環としてVR体験ショールーム事業のフランチャイズ展開なども行っています。
 
今回、同社が運営するVR体験ショールーム「VR SPACE」を設立するに至った背景や反響、そしてショールームのフランチャイズ事業を開始した理由などを、VR SPACE株式会社
Executive Producer & Co-Founder 二宮明仁様にお聞きしました。

 

VRに感動したことをきっかけに「VR SPACE」は生まれた

LIFE STYLE古城(以下古城):
まず始めに御社の運営されている「VR SPACE」を立ち上げようと思った背景をお聞かせください。
 
VR SPACE二宮様(以下二宮):
自分がVR体験で感動したからというのが何よりの理由ですね。2016年の初めに「HTC VIVE」(※VRヘッドマウントディスプレイ)でVRを初めて体験しまして、これはすごいなと。もともと自分の経歴としては、グリー株式会社の初期メンバーとしてずっとゲームを作ってきて、アメリカの子会社を立ち上げたり、そのあと自分で立ち上げたスタートアップを売却した後、次に新しいものをやりたいなと思ったときに、VRがあまりにもインパクトが強かったのでやろうと決めたんです。
 
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古城:
最初はクラウドファンディングで出資者を募集されていましたが、VRをやろうと決めてからどれくらいの期間で「VR SPACE」を立ち上げたのでしょうか?
 
二宮:
まず、VRの体験という名目でどれくらい人が来るかをテストしました。集まってくれた「VR体験がしたい人」たちは、お金を払ってもいいと言ってくれる人が多かったので、そこをビジネス化しようかということになって、パートナーと一緒に2016年の夏に動き始めました。その後、物件探しなどをして、最終的に同年11月にオープンしました。
 

テクノロジーに触れていない50代・60代が大きく感動する

古城:
「VR SPACE」を運営するにあたってどういう人をターゲットに想定されていましたか?また実際に来られた方たちはターゲット通りでしたか?
 
二宮:
一番最初に決めていたのは、渋谷にオープンするということでした。今でこそ渋谷にいくつかVR体験施設がありますが、「VR SPACE」が出る前は秋葉原ぐらいにしかVRを体験する場所がなかったんですよ。でもVRって秋葉原に集まるような技術に詳しい一部の人だけのものじゃなく、もっと多くの人に見せても感動してもらえるんじゃないかなと思っていました。そう思ったのも、テストを行っていた時に自分の母親にVRを見せた時に、すごく感動してくれたんですね。母親はもう60代なんですが、こんなに感動してくれるなら技術的なリテラシーがない人でも感動してもらえるだろうという実感ができたので、たくさんの人がいる渋谷にしようと思いました。
 
とは言いつつも、実際に来るのは20代30代の若い人たちかなと思っていました。ところがオープンしてみて思ったのは、20代30代の人はもちろん多かったのですが、ラジオ出演などメディアに出させていただいたところ50代60代の方もたくさんいらっしゃるようになって。そういう人たちの方がよりビビットにびっくりされているんですよ。意外だと思ったんですが、おそらく若い人たちは最新のエンターテイメントにずっと触れているからかと考えています。でも50代60代の方たちって最近のゲームなどに対して断絶があると思います。最新のテクノロジーに触れていない状態でいきなりVRを体験されるのでその分驚かれているのかなと。
 
古城:
最新のテクノロジーに触れていないからこそ、若い人よりも驚きの振り幅が大きいということですね。
 
二宮:
そう思います。それでその方たちが今度は家族を連れてくるというのもすごく多くて。本当に老若男女喜ばれるんだなっていうのが発見です。あとこれは渋谷だからという側面が強いと思うのですが、いらっしゃる方の半分以上はカップルで、それも面白いなと感じています。
 

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古城:
二人でも楽しめることを意識されていたのでしょうか?
 
二宮:
できるだけ複数人でいらっしゃってもらうというのはすごく大事にしていました。VRといっても一人でやると冷めるんですよ。体験している間は盛り上がっても、パッて外すと誰もいなかったら寂しいじゃないですか。だからうちのスタッフたちが盛り上げるっていうことも絶対ですし、やっぱり友達とか恋人とか身近な人と体験して自然に感情を出してもらった方が、終わったあと楽しかったなと思ってもらいやすいと考えています。
 
古城:
日本人の特性上、見られているのが恥ずかしいみたいなところがありますよね。一人でVRを体験しているのは恥ずかしいと感じてしまうので、身近な人と来ることによって自然な感情が出しやすくなって、終わった後の気持ちにも反映されるということですね。
 
二宮:
そうなんです。体験後の満足度を見るとそれが一番大事だなとよく思います。また周りに友達がいると体験している様子をインスタグラムとかにあげてくれるというところもあるので、「たくさん動画とってくださいね」と伝えて、インスタグラムやツイッターにあげてもらって、それでまた口コミが拡散されるというのはありますね。
 

「100万人をVRの空間に送り込む」ために全国へ

古城:
先日はVR体験ルームのフランチャイズ展開を開始されていましたが、この事業について教えてください。
 
二宮:
もともとVR SPACEのような施設を日本全国各所に作っていけたら面白いのではと思っていました。分散型テーマパークというアイデアなんですが…、大型の複合テーマパークを作ろうと思えば広大な土地が必要ですが、VRであれば少しのスペースでジェットコースターのような大型アトラクションが楽しめます。ということは小さい土地で、どんどん各所に作っていってもワークするなと考えたんです。テーマパークだと新しいアトラクションを導入しようと思うと、莫大な設備投資のお金がかかるじゃないですか。VRであれば、人気のコンテンツをネットで送れば良くて、言ってみたらアトラクションをそこにどんどん伝播させていくということができるなと。そう考えた時に、分散型のテーマパークが作れるなという思いがあったので、この事業を開始しました。
 
古城:
アトラクション用の広大な土地がいらないというのと、人気があるコンテンツを簡単に送れるというのがVRフランチャイズの利点なのですね。
 
二宮:
そうなんです。どこかの店舗でABテストして、それをどんどん伝播させて。あとは地域によってコンテンツを変えるということもできると思いますし、そういうことがやりたいという想いがありました。
 
古城:
もともとお持ちだった想いに加えて、「VR SPACE」の集客数や、施設運営の際に培うことができたノウハウなど、そういうものを含めてフランチャイズ事業という形式になったんですね。
 
二宮:
その通りです。あとは何より、先方のニーズにもすごくあっていたというのも良かったのだと思います。新しい要素を取り入れて、ホテルへの集客ツールとして活用できる何か、それがVRだったと。設備投資無く、うちが作り上げてきた運営・接客ノウハウなどを活用すればすぐに実施可能なので、それがよかったんだと思います。
 
自分たちの夢みたいなものなのですが、「100万人をVRの空間に送り込む」というミッションがあります。イーロンマスクが火星に人を送り込むなら、自分たちは仮想世界だ!ということで(笑) このような展開を広げることでもっと多くの人に仮想世界を当たり前に感じてもらえたらうれしいですね。
 

業界がVRの可能性に気づき始めている

古城:
大手企業からのVRコンテンツの開発依頼が増えているとお聞きしましたが、実際にどんな企業からどんなコンテンツの依頼が来ているのか教えていただけますか?

 
二宮:
大手ゲーム会社から、すごく人気のアニメIPを使ったVRゲームコンテンツの開発をしています。またナショナルクライアントから、法人向けのVRシステムを共同で開発するプロジェクト。あとは、いくつかの大手企業と組んでVR技術を使ったバーチャルキャラクターコンテンツのプロジェクトも始まっています

 
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古城:
いま開発されているものは、どういったVRのコンテンツが主となっていますか?
 
二宮:
割合としてはエンタメと、エンタープライズが50:50というところでしょうか。エンタメは今後も来ると思います。VRアトラクションがしっかりとお金になるというのを大手ゲーム各社が認識し始めてると思うので、そこのコンテンツ開発が任せられるスタジオとして、自分たちもどんどんプロジェクトを広げていけたらと考えています。

 
古城:
体験するための施設展開というところを持ちながらも、今後増えるであろう施設の中にあるハイクオリティなVRコンテンツを作っていくというところも着手していくのですね。
 
二宮:
そうですね。もちろんエンタメだけでなく、様々な業界において、VRとARが当たり前になっていくと思います。それぞれの業種でそれぞれのソリューションがあると思っているので、別にゲームだけにこだわらず、不動産であったりとか、ヘルスケアであったりとか、それぞれの業界課題にフィットするものをVR/ARという切り口で作っていきたいなと。今は案件ごとにサービスを作っている感じですね。作りきりじゃなくて、それを使って、第二、第三のマネタイズができるようなものを基本的に作るようにしています。
 

ユーザーの夢を叶えるために

古城:
今後VR領域でトライしたいことを教えてください。
 
二宮:
僕は「夢を叶える」というのがVRの一番コアになる部分だと思っています。だから「こんなことをできたらいいな」っていう、ユーザーの夢を叶えるコンテンツを作りたいなと。その一つに「時間を越える」こともVRならできると考えていて、そういったこともやってみたいと思っていますね。昔生きていた人に会いにいけるとか、昔の日本や世界の様子を見に行けるとか。それって教育的にも絶対意義がありますし、自分たちの祖先がどう生きていたかを見るのは個人的にすごく面白いと思いますね。そういう時間を超えるコンテンツはぜひトライしてみたいです。
 
 
ー二宮様 貴重なお話を誠にありがとうございましたー
 

VR SPACE株式会社
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2-1-11
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Tel.03-6427-4072

 

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