移動という概念はなくなる|日常にVRが普及した世界では何ができるか

筆者:古城 芳明

株式会社VOYAGE GROUP様は「アドプラットフォーム事業」「ポイントメディア事業」を中心に事業展開を行っている会社です。「VR研究室」というVR事業を専門に取り扱っているチームがあり、今回は同チームが制作した「VR PARCO」の背景や、今後のVRはどういった方向性に進んでいくのかを、株式会社VOYAGE GROUP VR研究室 室長 伊藤淳様と、VR研究室エンジニア 清貴幸様にお聞きしました。

 

VRへの熱意から始まった事業

LIFE STYLE古城(以下古城):
まず最初に、御社は「VR研究室」という部署を設けてVR事業を行ってらっしゃると思いますが、始めるに至った経緯をお伺いできますか?
 
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VOYAGE GROUP伊藤様(以下伊藤):
「VR研究室」は会社の新事業の一つとして2016年の9月に始まりましたが、設立に至った経緯としては2つ理由があります。一つは、弊社はもともと「アドプラットフォーム事業」と「ポイントメディア事業」を行っていたのですが、さらに新しい領域の柱を作っていこうという思いがあり、選ばれた分野の一つがVRでした。そしてもう一つの理由は、僕と清がとにかくVRが好きで、熱意があったというところが大きいですね。初めてVRに触れた時、これは間違い無く人々の生活を変える技術だと感じて、これはかつてインターネットができて情報の伝達に革命が起きた時と同じような衝撃なんじゃないかと思いました。人間の移動という概念を変える可能性を見出して、社長に、是非やらせてください!と。
 
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VOYAGE GROUP清様(以下清):
僕の場合はボードゲームとVRがくっついた「アニュビスの仮面」というゲームを体験したことがきっかけです。このゲームは、ヘッドマウントディスプレイをつけてVR映像を見ている人が口頭で状況を説明して、それを元に周りにいる人が推理・予測を立てていくというものです。VRを体験していない周りの人も楽しめる作りのものが当時はまだ無かったのですごく衝撃を受けてVRに熱中するようになりました。
 
古城:
なるほど、お二人とも事業を始めるにあたってVRに対する情熱があったのですね。
 
伊藤:
そうですね、流行りの市場だからではなく思いの強さから始まった事業です。
 

いずれ「移動」がなくなる未来を創りたい

 
古城:
次に御社が実際に制作されたコンテンツについてお伺いしたいのですが、今年の3月に行われた「VR PARCO」について詳しくお聞きできますか?
 
伊藤:
まず「VR PARCO」というサービスについてお話しすると、Webブラウザ上でVR体験ができるもので、PARCOさんの店舗を撮影・公開して、そこから商品の詳細確認や購入をできるようにしたというものです。制作の経緯としましては、PARCOさんと「何か新しいことができないか」というお話になった時に、ショッピングのように今は移動ありきで行われることが、将来VR端末がもっと普及して性能が上がっていけば家からでも行えるようになる。そんな未来を実際に作ってみようと思いました。
 
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古城:
テーマは「移動がなくなる」というところなのですね。私たちもVRを活用したショッピングを考えたことがあっても、実現している例を見たのは初めてです。今回の取り組みはかなり先進的に思います。
 
伊藤:
そうですね。PARCOさんも、将来的にテクノロジーとショッピングやファッションがどういう風に融合するかを研究されていて、今回の取り組みがショッピングとVRの融合を実現させたほぼ初めての例ではないでしょうか。VRでのプロモーションというだけでなく、実際にユーザーが行動を起こせるという部分にチャレンジしました。
 

VRは日常的なインフラになると信じている

古城:
「VR PARCO」のように、実写でのVRコンテンツにこだわりがあるのでしょうか?
 
伊藤:
弊社はもともとWebの領域に携わっていた会社なので、得意な分野であるWebかつ実写ベースで制作した方が自分たちの強みを活かせるんじゃないかと考えました。今のVR業界の主流としては、CGのネイティブアプリで、ハイエンドの端末を選択される方が多いかと思いますが、我々はWebかつ実写で、モバイル型の端末を選択しました。弊社はVR事業での成功を長期的に捉えていて、将来の市場を見据えています。VRのインフラ化が進み、より普及が行われた時にポジションを確立していたいと考えていて、これから伸びるであろうモバイルに特化して研究を行っています。
 
古城:
将来性を考えた時に、ユーザーに届きやすい形での提供を考えてらっしゃるんですね。WebでのVRにこだわる理由は何でしょうか?
 
伊藤:
Web VRの最も良いところはアクセスのしやすさ・シェアのしやすさだと考えています。僕たちは、将来的にVRがゲームとかエンタメだけじゃない、もっと日常に即したコミュニケーション前提のインフラになっていくと信じています。その時によりシェアしやすいWebでのVRを選択したというのが理由ですね。
 

機能性に、VRならではのエンターテインメント性を

 
古城:
情熱を持って事業を始め、そして「VR PARCO」といった例を見ない事例を制作されましたが、次に何をしようと考えていますか?
 
伊藤:
今回VRでショッピングができるという機能性を持ったコンテンツを制作しましたが、そこにVRならではのエンターテインメント性を加えたものを作っていきたいと思っています。機能性の部分は今回のコンテンツで体現できたと思っているので、たとえば友人と一緒にウィンドウショッピングができるような、そんなエンターテインメント性を重視しようと考えています。
 
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古城:
VRコンテンツを企画・制作する段階で課題として感じてらっしゃる部分はありますか?
 
清:
VRコンテンツを制作する上で、発注者と制作者の相場観に差があるかなと思います。VRを作る上でどれくらい予算がかかるのかっていう認知があまりないので、そこにズレが生まれてしまうことは何度か耳にしましたね。
 
伊藤:
それからVRはまだプロモーションツールの域を超えていないなと感じます。少しずつ面白い事例も登場し始めているとは思うんですが、今後はよりユーザーが積極的に行動できるものが増えてくるのではないかと思います。
 

VRが人間の移動を大きく変える

古城:
それでは最後に、今後のVRでの展望をお聞かせください。
 
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伊藤:
最初にもお話したように、VRは人間の「移動」を大きく変えると考えています。ゲームなどの側面が注目されがちなVRですが、いつか人間の日常の中に入ってきて、生活をもっと便利にしてくれると思っています。物理的な移動が必要なくなってVRで外に行くことができれば、距離や時間が関係なくなって、可能性の幅がグンと広がるんじゃないかと。将来的にはVRで出社することが夢ですね。
 
清:
そうですね、距離が理由でできないことでも可能にするソリューションがVRだと思います。お互いにコミュニケーションできるというところが非常に重要で、今はそのためのインフラを整えていくことが大事ですね。
 
ー伊藤様 清様 貴重なお話を誠にありがとうございましたー
 

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