「VR音響ってなに?」聴覚から始まる没入感

筆者:手島 理志

皆さんは『VR音響』と言われてピンときますか?VR画像・動画はずいぶん馴染みの深いものになってきましたが、聴覚の部分で感じるVR体験はまだあまり知られていないのではないでしょうか。今回は、皆さんがあまり知らないであろうVR音響についてご説明します。

VR音響とは?

VR音響とは「空間音声」や「立体音響」と呼ばれている音響のことで、簡単に言うのならば「向いている方向によって聞こえる音が変わる音響」のことです。
 
360度見回すことのできるVRコンテンツにおいて非常に親和性が高く、より没入感を高めてくれること間違いなしです。早速下の動画を、ぜひヘッドホンを装着してご覧になってみてください。
 
↓↓画像の上でクリック&ドラッグすると、360°の景色が楽しめます↓↓

※スマートフォンでご覧になる場合は、YouTubeアプリで再生すると360度動画がお楽しみいただけます
 
画面を動かしてみることで音が聞こえる方向が変わるのがわかるでしょうか。映像だけでなく聴覚でもリアルな刺激を受けることで、まるで本当にその場にいるかのような体験をすることができるのです。
 
またGoogleもVR音響の技術として、『Omninote』という立体音響技術のオープンソースを公開しています。
 
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(画像参照元:Omninote公式サイト
 
『Omninote』では音を立体的に聞くことができ、どの方向からどの音が聞こえてくるのかがわかります。下のURLのリンク先にはデモサンプルが二つありますので、ぜひ聞いてみてください。
 
デモ動画:http://googlechrome.github.io/omnitone/#gallery
 

VR音響で可能になる世界

VR音響がどういった技術なのかは、実際の事例を通してなんとなく理解していただけたかとは思います。ですがこの技術が一体どんなことに使われ、何ができるのかお分かりでしょうか。ここからは実際にVR音響の使われている事例を少し紹介するのとともに、どういった効果が見込めるのかを説明します。
 

エンタメ業界

vr_horror_logo

 
長崎にあるハウステンボスにあるVRアトラクション、「VRホラーハウス」では「VR映像 + ギミックチェア+立体音響」といった風に、3つの感覚でリアリティの高い体験ができるようになっています。視覚・触覚・聴覚といった部分で恐怖体験を行い、ただのVRコンテンツよりもさらに臨場感のあるものになっています。
 

 
またホラーコンテンツの他にもVR音響を使ったコンテンツはあります。上の動画は「なごみの耳かきVR」というVRコンテンツで、VR音響を通して耳かきをされている気分が味わえるというものです。視覚と聴覚から癒されてほしいというコンテンツ内容になっています。
 
このように、エンタメ業界においてもリアリティを求めるためにVR音響を活用する事例が増えてきています。
 

音楽業界

聴覚からのリアルな体験というのであれば、当然音楽業界を外すわけにはいきません。その場にいるような感覚で音楽を楽しめるVR音響であれば、ライブの疑似体験やミュージック・ビデオへの投影など、できることの幅は広がります。
 
↓↓画像の上でクリック&ドラッグすると、360°の景色が楽しめます↓↓

※スマートフォンでご覧になる場合は、YouTubeアプリで再生すると360度動画がお楽しみいただけます
 
上の動画のように、ステージの上に立っている感覚で楽しめるのもVRコンテンツならではです。見回すことで観客席まで見ることができ、そして囲むようにいるオーケストラの演奏を立体的に聴くことができます。
 
アーティストたちの中にもVR音響を意識した音楽作りをする人が増えてきており、VRコンテンツを体験する際にはそういった部分にも注意してみると面白いかもしれません。
 

今後のVR音響について

このように、リアリティをさらに追求するために不可欠な技術であるVR音響ですが、今後どのように進化をしていくのでしょうか。今でこそ立体的な音響にするためには撮影後に編集が必要ですが、今後は撮影の時点でVR音響としての録音が可能になるとのことです。今にすべてのVRコンテンツはVR音響が標準で搭載されているようになるのかもしれません。
 
またVR音響の可能性としてあるのは、音が空間をより繊細に表現できるかもしれないということです。音の遠近で距離感がわかり、方向で方角が分かるように、音によって空間が定義付けられていく時が来るでしょう。そうすることでVRは現実にさらに一歩近づいてくるのかもしれません。
 

まとめ

VR音響についての説明、そして何ができるかの紹介でした。VRの画像・動画については知っていても、音響について意識して聞いていたことはあまりないのではないでしょうか。今後はよりリアルな体験を求めてVR音響ももっと簡単に導入でき、かつ身近なものになっていくことでしょう。ぜひとも今のうちから要チェックしておいてくださいね!

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