株式会社VOYAGE GROUP|【2017年版】おしゃれオフィス20選

筆者: 編集部

『2017年おしゃれオフィス20選』の第16弾は、「株式会社VOYAGE GROUP」です。「アドプラットフォーム事業」「ポイントメディア事業」を中心に、様々な事業を今も創り出しています。利便性だけを追求するのではなく、社員同士がフランクなコミュニケーションを図れる場所として「海賊っぽい」バーを作るなど、オフィスに関するユニークな取り組みについてお話を伺ってきました。

「会社に一番ありえないもの」と考え、海賊っぽいアジトを社内につくった!

●LIFE STYLE代表 永田(以下永田)
今回は弊社の取材にご協力頂きまして、ありがとうございます。初めに御社の事業についてお聞かせ下さい。
 
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○代表取締役社長兼CEO 宇佐美進典様(以下宇佐美)
弊社は「広告のプラットフォームのビジネス」「インターネットのメディアの運営」の二つがメイン事業です。現在はこの二つが全体の売り上げの90%以上を占めていますが、創業当時からそうだったように、今もまた新たな事業を生み出そうと色々と取り組んでいるところです。
 
●永田
御社は海賊船をモチーフにした社内バー「AJITO」というスペースが有名ですが、そちらを2007年に作られたと伺いました。「AJITO」とは一体何なのか、なぜ「AJITOを作ろうと思ったのか」などをお聞かせください。
 
○宇佐美
最初の頃は特にオフィスにコンセプトも無く、利便性だけを重視した普通のオフィスだったんです。そんな中「もっとフランクにコミュニケーションを取りたい」「バーとかあると良いな」という声が社内から上がり、「じゃあ、何かすごいものをつくろう!どうせなら、一番会社にありえないものを」と始まったのがAJITO作りなんです。「うちの会社にAJITOがあって」ってなんか、かっこいいじゃないですか。設計には細かいところまでは口出しせず「海賊っぽい感じが良い」「スノッブな感じは嫌だ」「やるんだったら中途半端にならないよう、突き抜けて欲しい」というリクエストは出しました。実際つくって頂いたのはオフィスの設計ではなく飲食店の店舗設計をしている会社さんだったので、「こんな風に予算を使ってつくれるなんて初めてです!」ととても楽しんでくれて。その結果、とても良いAJITOが出来上がりました。
 
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●永田
実際にAJITOが出来てみて変わったことはありますか?
 
○宇佐美
まず圧倒的に変わったのが、社員一人一人が外でAJITO、つまり会社を語る機会が増えたことです。それって良いなと思ったので、オフィス全体もAJITOに寄せていって、結果、オフィス変更のプロジェクト名だったVOYAGEが社名になりました。「見知らぬ海にどんどん乗り込んで、そこで航海し、探検していこう」というのがコンセプトですね。

「利益が出るものを追い求めるばかりが経営ではない」という大きな気づき

●永田
「AJITO」の効果で、社名からオフィスまで変わっていったというのは面白いですね。AJITOを実際につくった背景を、もう少し詳しくお聞かせ頂けますか?
 
○宇佐美
私自身、2005年から2010年まで(株)サイバーエージェントの役員も兼務していたのですが、2005、6年頃に(株)サイバーエージェントがヴェルディ(現東京ヴェルディ)のスポンサーになっていたんですね。スポンサーになるって、数億もかかることなんです。それまでの私の考えだと、「経営って売り上げがあってコストがあって、最後に利益が残る」という考え方だったので最初は驚いたんですよ。ところが近くで見ているうちに、会社の経営ってブランド作りであったりこういった取り組みだったりも重要なんだな、と気がついたんです。今までの視点だけで見るとコストでしかない数億円ですが、これによって会社の知名度や社員のモチベーションも上がり、会社に興味を持ってくれる人も増えるわけですよね。私も経営を始めてからは、こういった部分をより意識していこうと思い、そこで生まれたのが「AJITO」だったんです。
 
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AJITOができたことで、社員が会社に対して誇りを持つように

●永田
AJITOができたことで、目に見えた変化というのはありましたか?
 
○宇佐美
先ほど話したように社外で会社の話をする機会が増えたことに加えて、来ていただいた方にまず最初から「すごいですね」って言われるようになったんですね。それは私だけではなくて、来客があった社員一人一人に対してもです。そうやって褒めて頂いたり、「あれ何なんですか」と聞かれて、「実はこういうことで」と、一人一人が会社に対して誇りを持って話せるようになったな、という実感があります。もちろん会社の事業をを通じてしっかり話せるのがベストですが、なかなか説明が難しいサービスだったりするので、社内にこういう興味を持ってもらえる空間がある、それを通じて会社の話ができるようになったというのはすごく大きな効果だと思っています。実際にあそこでミーティングや夜の勉強会があったり、終業後にメンバーと飲んだり、というコミュニケーションの場というかハブになっているんですよ。またこのスペースでエンジニアの勉強会をやったりして、社員と顔見知りになったりして、そういったところから採用に応募してくれる、なんていう効果もありますね。

褒めていただけるのは、会社の理念や価値観が埋め込まれた空間だからこそ

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●永田
AJITOがコミュニケーションやコネクション作りの場となっているのですね。オフィス全体で特にこだわったところや、お気に入りの場所はありますか?
 
○宇佐美
個人的には、ロープのあるレムリアって会議室が好きですね。あのコンセプトは実は紐なんです。ロープもそうですし、中に壁際にも紐があって、テーブルも実は紐が入っているんです。会議室ごとにコンセプトや素材も変わっていて、こちらは「段ボールで積み上げていく」というのがコンセプトです。そうやって語れるポイントが色々なところにあるんですよね。例えば会議室の名前もそうですし、8階全体を一周している床の白い線は「ライン」といって航路をイメージしているんです。航路の上に会議室があり、新たなアイデアなどが発見・創造・発信されていくというコンセプトです。他にも「あのロープは実際に船で使用しているもの」「あのスポンジは吸音材で、通常は壁の後ろに隠されているものをあえて表に出した」など、色々なこだわりがあります。
 
●永田
そういったこだわりの一つ一つが外部の方に話すきっかけになるんですね。
 
○宇佐美
そうですね。私自身は取材などで話す機会も多いのですが、個々の社員はなかなか「会社」っていう単位で話をする機会ってないと思うんです。それをしかも褒めていただけるというのはとても良い機会だしありがたいですよね。これって単にクリエイティブなものを作ったから、ということではなく、会社の理念や考え方、価値観が詰め込まれた空間だからこそ実現したのだと思います。

採用のポイントは「360°スゴイ」という会社の理念に共感できるかどうか

●永田
では次に、このオフィスで実際に働かれている方々について教えて下さい。採用ではどんなところを重視されていますか?またどんな人が欲しいと考えていらっしゃいますか?
 
○宇佐美
新卒と中途は違いますが、どちらでも重視するポイントとしては我々の経営理念に共感できるか、というところです。我々はSOUL「360°スゴイ」と8つの価値観「CREED」を合わせて経営理念としています。ただこういう理念って、言葉で説明しても難しいですよね。そこで、弊社では毎年平日に全社で運動会をやるので「そんな会社ですけど大丈夫ですか」というように、実際にやっているイベントや分かりやすい文化を伝えることで会社を理解してもらおうとしています。それが合わないのであれば会社とも合わない、ということだと思っています。欲しい人材は一言で言うと「いけてる良い奴」ですね。

組織拡大に伴い、「一チーム5、6人」の事業部制に

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●永田
「いけてる良い奴」。良いですね。それは欲しいですね。会社の規模がどんどん大きくなってくると「理念が浸透しづらい」「今まで通りのマネジメントではうまくいかない」など様々な問題が出てくると思いますが、乗り越えてきたポイントはありますか?
 
○宇佐美
確かに100人超えたときに、いろいろな物事の取り組みであったりとか、意思決定のスピードがガクンと遅くなったなとは思いましたね。コミュニケーションコストがかかるようになったというか。「何かやろう」となっても、「それはどこどこの部署の誰々さんと調整してからじゃないと決められません」という反応だったり、どこの会議にいってもなぜだかすごく人が増えていたり。そこで2005、6年くらいに事業部制にして、いわゆる「決められる単位」を、5、6人と小さくしたんです。営業もエンジニアもデザイナーも全部です。単位を小さくしていくことによって、自分たちで決められるようにしました。
 
●永田
なるほど、100人いるとユニットが沢山できてくるようなイメージですね。そうすることで、各自が自分たちの責任のもと行動を起こすようになりますね。
 
○宇佐美
そうなんですよ。事業部を分割して小さくして、30人くらいが一番組織の規模としてはコミュニケーションしやすいかなと思います。一人のトップがいて、四、五人リーダーがいて、その下に三、四人メンバーがいる感じです。そこの階層があまり深くならないようにしています。
 
●永田
実際に100人くらいになってくると、「ミドル層のマネジメント」が課題になってくると思うのですが、ミドル層に対して何か意識されていることはありますか?
 
○宇佐美
ミドル層もそうですが、役員や責任者に対して大切なことは「いかにこちらがいい質問を投げかけるか」だと思っています。部下を持つ立場の人が自分自身が納得していない、言われたからやるという状況だと、「なぜやるのか」ということを正しく伝えられないですよね。そうなると結局、「宇佐美さんがやれって言ってるからやるんだよ」みたいな話になってしまいます。それでは現場は、臨機応変に動けません。「なぜやるのか」をきちんと理解して指示をすることが重要なので、こちら側にとって大切なのは「どうやって気付かせるか」ということなんです。本人が気付くように働きかけるというのは、「こちらがどういう問いかけをするのか」というところなのかなと思います。

今の経営を支える二つの大きな柱に次ぐ、三つ目四つ目の柱の構築を目指す

●永田
本人が気付く質問をいかに問いかけられるか、ということですね。それはとても深くて難しいですね。では最後に、今後の事業展開についてお聞かせください。
 
○宇佐美
創業時から様々な事業を立ち上げ創り出してきましたが、今後も引き続き新しい事業を自分たちで作り出していきたいなと思っています。今は「アドプラットフォーム」「ポイントメディア」の二つが大きな柱ですが、特にまだ伸びしろのある広告のプラットフォームはもっと伸ばしたいですね。それに加えて今後は、採用のビジネスやEコマースのビジネス、フィンテックやVRというような、今の段階ではまだどうなるかわからないような新分野でのビジネスを三つ目、四つ目の柱にしていきたいですね。
 
●永田
VR関連であれば弊社が運営する「マッチングプラットフォーム」にはVRクリエイターが揃っていますので、何かご一緒できたら良いですね。本日はありがとうございました。
 
ー宇佐美様 貴重なお話を誠にありがとうございましたー
 

取材協力:株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO 宇佐美進典 様

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